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先日、サンタモニカの寿司屋に行きました。

カウンターの目の前のガラス張りのネタ入れ(なんて言うんでしょうね)の中に、鯖(さば)がありました。

せっかくなので、鯖を注文しました。

鯖を食べると、サバサバした気分になりますねぇ(自爆)

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....さて。本題に入りますか。

14日の火曜日、10月のLA SIGGRAPHが行われました。

"WALT DISNEY FEATURE ANIMATION & DREAM QUEST IMAGES"
Tuesday, October 14th
The Alex Theatre

6:30-7:30PM Social Hour (ビールや食べ物で懇親会)
7:30-9:30PM Program (講演)

今月のテーマは、ウォルトディズニー・フィーチャー・アニメーション(劇場用長編アニメーション専門の会社)と、ディズニー傘下のCGプロダクション、ドリーム・クエスト・イメージです。

会場は、Glendele(東京で言う小田急多摩センター)にあるAlex Theatreでした。フリーウェイをぶっ飛ばして1時間。すげー遠かったです。

映画館を丸々借りきってのミーティング。

LA SIGGRAPH は、どこがホストになるかで食い物の質が毎回上下するのですが、今回はさすがはディズニーと言った感じ。

食い物も沢山用意されてました。

映画館The Alex Theatreのロビーには、"FANTASIA 2000" のイメージ・ボードが沢山展示してありました。

テーマがテーマだけに、ものすごい人が来ていました。映画館はほぼ満席になってましたね。

会場にはリード・アニメーターに昇進したばかりのディズニーのCGアニメーターの佐藤篤司氏(本欄ではおなじみ)や、僕の友人の日系CGプロダクションLight Shade Graphicsの竹富氏、奥田氏等も来ていました。

では、内容を簡単にご紹介。


○GEORGE OF THE JUNGLE - DREAM QUEST IMAGES

Paul Jordan :3D Animation Supervisor and Technical Director
David Lauer :2D Compositing Supervisor and Technical Director
Bruce Wright:3D Charactor Animator

先日紹介しました、ディズニーのコメディ映画"GEORGE OF THE JUNGLE"のCG部分のメーキング。

SIGGRAPH'97 のAlias|Wavefront ユーザーミーティングの時の講演とほぼ、同じ内容でした。

Alias PowerAnimator によるCG製の象(ジョージの愛犬)を、どのようにして作ったかを順を追って説明しました。

Georgeに呼ばれて走り込んでくるCGの象さんと、パーティクルによる足元の土煙など。レンダラはおなじみRenderMan。

象がミサイルを打つ(鼻から椰子の実を発射)するシーンでは、本物の象の実写をベースにErastic Reality による鼻の部分モーフィングや、複数レイヤのコンポジットで表現しているそうです。

ちなみにこの映画は、ものスゲーくだらないコメディ映画(でも大好き)ですが、全米売り上げが 120億円を越える大ヒットとなっています。

僕の横で観ていた佐藤氏は、最後に流れた完成版の映像(ギャグが満載)を観て、『くだらね~~~』と言いつつも顔はクシャクシャになってました。


○FANTASIA 2000 - WALT DISNEY FEATURE ANIMATION

Hendel Butoy: Supervising Director of FANTASIA 2000
Steve Goldberg: CGI Lead

現在製作中の"FANTASIA 2000" の部分的なお披露目とメーキング。

ファンタジアの1作目は1940年に製作され、日本ではリバイバル上映も含め、何度か劇場公開されました。LDも発売されています。

1作目に出てくる『歩くホウキ』は東京ディズニー・ランドのパレード等でもおなじみですね。

その2作目にあたる"FANTASIA 2000" が、現在着々と製作されています。

(2000と言うからには、公開は2000年か?)

そん中から、出来上がっている複数のシークエンスのお披露目。

しっかし、公開前に見せてしまうなんて(まあ業界関係者ばかりですけどね)太っ腹っつーか、なんつーか、さすがですよね。

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メーキングは、"FANTASIA 2000" から"The Steadfast in Tin Solder"。

深夜、人間が寝静まった後のおもちゃ達の物語です。

このエピソードではストラビンスキーのピアノ協奏曲第2番(ピアノ演奏:Yefim Bronfman)がフィーチャーされます。

片足のおもちゃの兵隊と、美しい踊り子人形がラブラブ状態(なんだそれ)になり、ビックリ箱の道化がそれに嫉妬して、さあ大変、というお話です。

これは、今年のSIGGRAPH'97 のElectronic Theaterでも上映されましたので、ご覧になられた方も多いと思います。

動きがものすごくリアルで、なおかつ繊細な神業的なアニメーションですが、これはすべて3次元CGでやってます。それを2Dライクな仕上がりにしてセルアニメっぽい質感に仕上げています。

モーション・キャプチャは一切使っていない(それであれかい。すげぇ)そうで、すべて普通のキーフレームアニメーションによるものだそうです。

CGソフトはSOFTIMAGE 3Dを使っているらしい。

踊り子のダンスの部分のスカートの動き、髪の毛の揺らぎ等は、物理シュミレーションによるものです。

この部分のテスト映像も公開されましたが、テストの初期の映像で『ダメなスカート』というタイトルのアニメーションが流れました。

シュミレーションがうまく行かず、踊り子のスカートが爆発(笑)してるのです。会場は爆笑の渦でした。

また、床にしゃがんだ姿勢から立ち上がる踊り子のシーンも、初期のテストでは足とスカートに相貫してしまったりしてました。

これらの問題点をひとつひとつクリアにしながら、最終版までもっていったようです。

アニメーションとしての完成度は非常に高く、劇場で見る素人の人には、おそらくこれが3次元CGによる映像だとはわからないでしょう。

3次元CGをあくまでも1つの表現手段として上手く利用している好例と言えます。さすがはディズニー。

あの完成度には、ただただ驚くばかりです。

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最後に、来月のLA SIGGRAPHは予定を変更して、11月公開の"STARSHIP TROOPERS"のメーキングをやります、いうアナウンスがありました。

参加者は発狂してました。

"STARSHIP TROOPERS" は本欄でも紹介したとおり、CG製のバケモノが大挙で襲ってくるという、モノすげぇ予告編で話題になってます。

公開日は11/07。楽しみですねぇ。

ではまた。

 


 
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(C)1997-2009 All rights reserved  鍋 潤太郎

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僕は、先々週の土日に会社で仕事をしていたので、先週の火曜と水曜日にその代休を取りました。

平日に休める事はそうそうないので、こーゆー時の為に考えていたプランを実行に移す事にしました。

そこで、ハリウッドはパラマウント映画のスタジオ見学に出かけたのでした。

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有名なパラマウント・ピクチャーズのスタジオは、ハリウッドサイン(山に、HOLLYWOOD って書いてある、アレですな)の丁度、真下にあります。

ここは、テーマパークではなく、現役の映画&テレビのスタジオです。
しかし、平日の営業時間内に、一般向けの見学ツアーを実施しています。

ツアーは月~金曜の、9:00AMから2:00PMの間に行われ、誰でも見学出来ます。
拝観料(笑)は$15.00で、所要時間は2時間です。

ユニバーサル・スタジオのような、アミューズメントパーク系のスタジオツアーに飽きてきた方や、映画ファン特撮ファンの方には、穴場だと思いますよ。
では、このツアーの内容をご紹介。

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有名なメインゲート(パラマウント映画の門)の近くに、ツアー用のパーキングがあります。そこに車を止めて、メインゲートまでテクテク歩き、ゲートの右側にあるゲスト用の入り口でボディ・チャックを受けます。

有名俳優とか、大物プロデューサーとか、所謂VIP が仕事をしている映画スタジオの敷地の中に入るので、空港のゲートと全く同じ、金属探知機で凶器を持ってないか、チェックされる訳です。

中に入るとお土産屋に案内されます。そこで、まずツアーのチケットを買います。ツアーの開始時間になるまで、そこでお土産を見たり、プ~ラプラして時間をつぶします。

そーこーする内に、時間になり、お店の前に集合になりました。
この日の見学者は40人位。2班に別れての見学ツアーとなりました。

パラマウントは、前述のようにテーマパークではない為、ガイドさんに金魚のフンみたいにくっついて、スタジオ内を『歩いて』見学します。

参加者の中には、てっきりユニバーサル・スタジオのようにトラムに乗って回るツアーだと思っていて、驚いてた人も。

徒歩だと聞いて、トホホと言ってました(そんな訳ねーだろう)。

パラマウントのスタジオを一言で言うと、『成城の東宝撮影所をちょっと広くして、建物を全部ぶっこわして、キレイでお洒落なのに建替えた』ような感じ。

特撮プールがあるところなんか、そっくりだし(笑)

まずは、パラマウントのゆかりのある建物の見学。故有名プロデューサの名前がついた建物等を見学します。それから、パラマウント・シアターへ。ここは、映画の試写を関係者を招いて行うゴージャスなシアター。キャパは 500人弱で、素晴らしい内装を施した、立派な劇場です。

このシアターは、92年に出来たそうです。中にも入れます。実際に、客席にも座られてくれます。試写の際、監督やメイン・キャストは、映写窓の下の『ボックスシート』に座るのだそうです。

折角なので、見学者全員で、同劇場のトイレを使ってみました(笑)。
トイレは普通のトイレでしたよ。

続いて、いよいよサウンド・ステージエリアへ。

ここからは、撮影禁止です。カメラは携帯してても良いけど、撮影はダメ、と言われました。

ステージ近辺の雰囲気は、日本の大映、日活、東宝、国際放映等のスタジオの雰囲気と一緒。『撮影所』、って感じ。嬉しくなってニコニコしていました。

本物のステージなので、当然、撮影もやっています。

折しも、ステージNO4では、"STAR TREK - DEEP SPACE NINE" の撮影中。
ステージ横には俳優の控室のトレーラー、冷房用の大形の換気車等が。

ツアーはステージの中へは入れませんが、入り口から中を覗く事が出来ます。
宇宙船の内部のセットが並んでいるのが見えます。興味深々ですねー。
トレッキーな人には、正に垂涎ものと言えます。

STAR TREK は、複数のステージに跨がって撮影していました。力が入ってます。

続いて、モデリング部門(大道具さん)や、コスチューム部門(衣裳さん)を見学。モデリング部門では、STAR TREK の宇宙船の壁にハメ込む、パネルを製作していました。

各部門を回って、音楽専門のスコアの部門と、音響の部門の見学になったのですが、ガイドさんが確認したら、スタジオは『本番中』でダメでした。残念。

でも、小道具さんの建物で、いろいろ面白いものがありました。

○アダムス・ファミリー2で使った、パパと叔父さん兄弟の肖像画。本物。
○なぜか、『宮本武蔵先生の墓』と書いた写真。何に使ったんだろ?
○フォレスト・ガンプのテーブルとソファ。本物。
○その他

うーん、面白い。

最後に、特撮プールを見学しました。

ここは、普段は水を抜いて、駐車場として使っています。
撮影が入ると、何万ガロンもの水を入れて、プールにする訳です。

大きさは、東宝の特撮プールの6倍はあるかな。深さは1.5M 位。

プールの奥に、背景用の壁(ビル6F建て位の高さ)があり、これは青に塗ってあります。これは、ブルーバックとして使うそうです。

この特撮プールは、スター・トレックの4作目『遥かなる故郷』で、クジラを放流するシーンや、『コンゴ』、『ウォーター・ワールド』のハワイロケで撮りこぼした部分の撮影等に使ったそうです。

(『ウォーター・ワールド』って、パラマウントじゃなくて、ユニバーサルの作品なんですが、こーゆー事はよくあるみたいですね)こんな感じですが、観光目的に作られたテーマパークとは、またひと味違った趣きがあり、なかなか楽しかったです。


パラマウント・スタジオ 見学ツアー オフィシャルサイト
http://www.paramountstudios.com/special-events/tours.html

 
関連記事:
ソニー・ピクチャーズのスタジオ見学ツアー(02/21/2010)


 
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