映像ジャーナリスト 鍋 潤太郎の随筆による、ハリウッドVFX情報をいち早くお届けします。
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(撮影: 山下奈津子)
■5月6-8日の週末 全米10館で公開
日本でも話題を呼んだ映画「13人の刺客」(三池崇史監督)が、4月29日よりアメリカで公開の運びとなった。配給は米マグノリア・ピクチャーズ。
英語圏では「13 Assassins」というタイトルでの公開。全米で10館(5月10日現在)という限定公開ではあるが、アメリカ人にとっては「久しぶりの、本場の、新 作サムライ映画」という事で、ウワサを嗅ぎ付けた映画ファンが劇場になだれ込み(笑)、1回の上映あたりの売上げが$4,837という、まずまずの健闘ぶ りを見せている。
5月6ー8日の週末のボックスオフィスで第5位だった「Rio」の1回の上映あたりの売上げが$2,610なので、上映館は少ないものの、お客さんが入っている事が分かる。
■UCLAのお膝元、ウェストウッドでも学生に人気 終盤の殺陣シーンに拍手
早速、上映館へ足を運んでみた。訪れたのは、ロサンゼルスのウェストウッドにあるFox Bruin Theaterだ。ここは1937年にオープンした映画館で、古くは「Adventures of Casanova」 (1948) のプレミア上映の会場にもなった、由緒あるシアターである。
筆者は土曜日夜の回を鑑賞したが、ウエストウッドはUCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)のお膝下とあって、学生の姿が多く見られたのが印象的だった。
米国人観客のリアクションは、平均的な日本人の2.5倍増しの大袈裟度(当社比)だが、この「13 Assassins」ではそれが特に顕著に現れていた。
終盤の殺陣シーンでは、城内から拍手が沸き起ったり、ウヒャウヒャ喜ぶ人がいたりで、かなりの盛り上がりであった。中でも、倉永左平次を演じる松方弘樹は、"一番人気"だった。
ベテラン俳優、松方弘樹の太刀裁きのカッコ良さは筆者が敢えて述べるまでもないが、それはアメリカ人にも伝わったようだ。
劇中で倉永左平次が200人規模の軍勢を相手に斬りまくるシーンの場内の拍手や奇声などの盛り上がりが、それを物語っていた。
終盤では、画面に松方弘樹が登場しただけで大喜びしている観客もおり(本当)、「一流は国境を超えても通用する」という事を実感した瞬間であった。
本作は1963年の同名映画のリメイクだが、筆者は初めての鑑賞。三池崇史監督の冴えた演出に加え、説得力のある撮影、効果的で繊細な照明、テンポの良い編集、丁寧なメイク、そしてOLMデジタルによる完成度の高いVFXなど、見どころ満載の1本であった。
来年のアカデミー賞の、外国語映画賞の候補に挙がる事を期待したい。
このサイトに含まれる記事は、鍋 潤太郎が日本のメディア向けに
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