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映像ジャーナリスト 鍋 潤太郎の随筆による、ハリウッドVFX情報をいち早くお届けします。

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サンタモニカにあるSoftimage社の施設、The Softimage Studioにおいて12月13日、クリスマス・パーティを兼ねたユーザー・ミーティングが開催された。

ゲスト・スピーカーを招いての講演や、Softimage社の最新ラインナップのデモンストレーション等、20世紀の最後を締めくくるにふさわしいイベントであった。

satrax_01.JPG今回の目玉は、何と言っても「サイレント・ヒル」で本誌でもお馴染みである、佐藤隆善氏[写真]による講演であった。

冒頭にSoftimage社のセールス・マネージャーであるボブ・シャフロン氏が挨拶に立った後、佐藤氏が紹介された。

佐藤氏は99年12月より、サンフランシスコのコナミ(Konami Computer Entertainment America, Inc.)へと赴任。同社にてマネージャー、ディレクター、アーティストを兼任する等、超多忙な日々を送られている。

プレゼンテーションでは、SIGGRAPH'99で佐藤氏の名前を一躍知らしめる事になった「サイレント・ヒル」の映像と、米国では初披露となる「サイレント・ヒル2」(今年春発売予定)の映像が流れ、佐藤氏自身が製作の経緯や、メーキング秘話等を英語で解説した。

会場にはハリウッド近郊のSoftimageユーザーが大勢集まり、佐藤氏の講演に熱心に見入っていた。

また、この日のイベントでは、Softimage XSI 1.5のデモンストレーションも行われた。

同社スペシャル・プロジェクト・チームのマイケル・アイズナー氏による、XSI 1.5のポリメッシュやUVミラーツール、アニメーション・ミキサーの紹介が行われたのを始め、毎年夏のSIGGRAPHの国際ユーザー・ミーティングにおいて、流暢な“爆笑デモ”を繰り広げているマーク・シェナゲル氏が、同じくXSI 1.5のクロス・シュミレーションや、フェニックス・ツール社のジオメトリベースのファー・シェーダー(RealFur V2.0)等の紹介を行なった。

近年のハリウッドでは、XSI の開発が当初の告知よりも遅れた影響か、大手プロダクションの多くが既にMayaに移行する等、Softimage社にとってはやや厳しい情勢にあるものの、それを巻き返す為の「意気込み」が感じられるデモンストレーションであった。

このように、大盛況に終わったイベントであったが、日本人がメインの講演を行う事は非常に珍しく、佐藤氏が米国でも高く評価されている事が伺える。我々日本人CG関係者には、非常に喜ばしい出来事であった。


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(C)1997-2010 All rights reserved  鍋 潤太郎 


 

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〇はじめに

ここロサンゼルスでは、「ジャパニメーション※」のコンベンションである、"AnimeExpo"(アニメエキスポ)が毎年開催されている。

今年の"AnimeExpo2000"は、アナハイムのディズニーランド・ホテルで6月30日から7月3日までの4日間に渡って開催された。

ディズニーランド・ホテルには、全米から6000人以上のOtaku※の皆さんが集まり、大盛況であった。では、その模様を簡単にレポートしよう。

※Japanimation
  JapanとAnimationを足して作られた造語で、日本製アニメーションを
  差す言葉である。この言葉はアニメファンのみならず、一般の人
  にも認知されている。

※Otaku
  アニメマニアの事。日本語の「おたく」が英語になった、言ってみれば
  「米製日本語」である。アメリカ人のアニメマニアの間では、"Otaku"と
  呼ばれる事は一種のステータスであり、誇りに思う傾向があるようだ。

〇"AnimeExpo"とは

この"AnimeExpo"は、92年より毎年1回開催されている、全米で最大規模のアニメーション・コンベンションである。SPJA(The Society for Promotion of Japanese Animation)が主催しており、基本的には非営利のボランティアによって運営されている。

通年は、"Siggraph'93"等でも使用されたアナハイムのコンベンション・センターを会場としているが、今年は2000年を記念して、ディズニー・ランドに隣接する、ディズニーランド・ホテルでの開催となった。(写真)

このコンベンションでは、65社ものアニメ関連企業がブースを並ぶ展示コーナー、作品の展示等があるアートショウ、膨大な数の作品を上映するフィルム・ビデオ上映、カラオケコーナー、ゲームコーナー、そして日本からの著名なゲスト※を迎えての講演等、充実した盛り沢山の内容になっている。

※今年の日本からのゲスト
今年の日本からのゲストは、赤根和樹(「天空のエスカフローネ」監督)、深見 梨加(「セーラームーン」声優)、後藤圭二(「爆裂ハンター」キャラクターデザイン)、羽山淳一(「ジョジョの奇妙な冒険」作画監督)、川崎博嗣(「スプリガン」監督)、草薙啄仁(「青の6号」キャラクターデザイン)、前田 真宏 (「青の6号」監督)、松井亜弥(「ママレード・ボーイ」シリーズ構成 )、箕輪豊 (「バンパイヤハンターD]キャラクターデザイン)、三井秀樹(「未来少年コナン2」脚本)、村田俊治(「青の6号」キャラクターデザイナー)他、バラエティに富んだ顔ぶれで、アメリカにおけるアニメファンの幅の広さを象徴していると言える。

〇熱気に包まれた展示コーナー

特に展示コーナーはすさまじい熱気に包まれており、アニメセル、キャラクター商品、日本のアニメ雑誌等を販売するブースには大勢のファンで賑わっていた。また、日本のバンダイのブース等では「ガンダム」シリーズのビデオが飛ぶように売れていたのを始め、ビデオ販売のブースは軒並み大人気であった。「らんま1/2」「ドラゴンボール」等の数あるアニメ作品群の中でも、相変わらず「セーラームーン」「ポケモン」の人気は他を圧倒していた。

ブースに並んでいる作品の中には、現役の日本人である筆者でも見た事がないような作品も沢山あり(笑)、この世界の奥深さを痛感させられる。ちなみに、会場で出会ったアメリカ人に「好きな作品は何だい?」と聞くと、すかさず「俺は“ああ女神さま”が好きだ」という返事が返って来た。

会場の中のテレビ・モニターにアニメ作品が流れていると、必ずその前には人だかりが出来ていた。例えそれが日本語の作品でも、一生懸命に理解しようと、熱心に見入っている熱心な姿を目にした。アニメファンの中には、アニメ好きが高じて日本語を勉強し、日本語が話せたり、日本の文化を研究ししている人もいる。思わぬ所で日米分化交流が進んでいるようだ(笑)。

なんでも、“通”の間では、「日本のアニメは、日本語のオリジナル見るに限る」とも言われているらしい。

〇アメリカ人のコスプレ

さて、日本でゲームショウやコミコン等が開催されると、必ずコスプレ族で賑わうが、今回の"AnimeExpo2000"も例に漏れず、アメリカ人の「コスプレ根性」(笑)に圧倒された。

セーラームーンはいるわ、ドラゴンボールの悟空はいるわ、ジオン軍の将校はいるわ、ルパン3世はいるわ、意味不明のキャラクターはいるわで、もぅ大変な騒ぎであった。

会場のあちこちで、カメラに囲まれたり、コスプレ仲間同士で写真を撮り合ったりする光景も見られた。


〇おわりに

このように、"AnimeExpo2000"は大盛況の下に終了した。

少し前まで「ジャパニメーション」と言えば、一部のマニアに限られたものであったが、人気シリーズ「ポケモン」によって、それも徐々に変わりつつある。昨年の11月に全米公開された「Pokemon the First Movie: Mewtwo Strikes Back」は、$85million (約89億円)を超える大ヒットとなった事は記憶に新しい。

この夏、全米の映画館では、「ポケモン」の劇場用長編アニメの2作目にあたる作品「P2K (Pokemon The Movie 2000)」が封切られる予定である。既に映画館では予告編がバンバン流れ、街中には「ポケモン」の大きなビルボードも出現し、2作目も大ヒット間違いナシと言ったところである。「ジャパニメーション」の一般への浸透も、ここまで来たか、という感がある。

ところで、現在全米で公開されている映画「TITAN AE」でも、3Dと2DのCGの融合によるデジタルアニメーションが話題を呼んでいるが、この"AnimeExpo"でもデジタル関連の作品は注目され始めている。

例えば、昨年のAnimeExpoでビデオが人気を呼んでいた「青の6号」(バンダイビジュアル)が好評を博し、今年日本から招かれたゲストの内3名が「青6」の関係者だった事も興味深い。更に、岡部暢哉監督のCGを駆使したVシネマ「D」3部作の英語吹き替え版(Bandai Entertainment)が2001年に全米で発売される事が発表される等、デジタルアニメやデジタル関連作品も話題を呼んでおり、我々CG関係者にとっても、今後の動向からはますます目が離せない。

来年のAnimeExpoは、また、ここアナハイムで開催される予定である。興味のある読者の方は、ディズニーランドの観光も兼ねて、一度訪問してみては如何だろうか。

AnimeExpo オフィシャルサイト  http://www.anime-expo.org/

 


 

 
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