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映像ジャーナリスト 鍋 潤太郎の随筆による、ハリウッドVFX情報をいち早くお届けします。

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"VFX界のアカデミー賞" 第8回 VES アワードがエントリー作品を募集中 映画のVFX&コマーシャル&ゲーム作品が対象 

~日本からも奮って応募を~

 [今年2月に開催された第7回VESアワード授賞式の模様]
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ハリウッドに拠点を置くVES(Visual Effects Society/全米視覚効果協会)は、来年2月28日(日)ビバリーヒルズにて華々しく開催される予定の第8回VESアワード授賞式に向けて、10月12日より世界中から広くエントリー作品の募集を開始した。

もちろん、日本からの応募も可能だ。

第8回授賞式の会場は、ビバリーヒルズのセンチュリー・プラザ・ホテルが予定されている。

 

さて、今年で8回目を迎えるVESアワードだが、果たしてどのような賞なのか、ここで簡単にご説明させて頂こう。

ご存知のように、映画「スター・ウォーズ」の登場以降、VFXを抜きにしてハリウッド映画は語れずと言う程、エフェクトは映画製作に浸透している。

年間に製作されるVFXを駆使した映画の本数も膨大であり、テレビ番組やミュージック・ビデオの分野においても、目を見張るエフェクト作品が数多く登場している。

これ程までに大量のエフェクト作品が世に送り出されていながら、これらの作品に対して贈られる権威ある賞と言えば、アカデミー賞やエミー賞ぐらいのものだった。審査対象とされるカテゴリーも、ごくごく限られていた。

より多くの優れた作品にチャンスを与える場を、業界全体で設けられないだろうか?そんな趣旨により、2003年よりVES主催によるVES アワードが毎年2月に開催されるようになった。

授賞式当日には、VFX界の大御所や重鎮、招待されたノミネート作品の関係者、そしてVES会員らがタキシードやドレスに身を包み、ハリウッドの映画ギルドの授賞式らしく華やかに開催される。


[金のトロフィー。いかにもVFXの賞らしいデザインである]    
a5286fe0.JPG受賞者には、VESのシンボルである、世界で最初の特撮映画、ジュール・ヴェルヌの「月世界旅行」で有名な月顔とロケットを象った、金のトロフィーが贈られる。(写真) 

ゲストも豪華で、毎年VFX&映画業界の重鎮、著名人が出席している。

過去数年の授賞式ではジョージ・ルーカス監督、ロバート・ゼメキス監督、ジョン・ラセター監督、ジェームス・キャメロン監督等が会場に姿を見せている。

今年2月に開催された第7回授賞式では映画プロデューサーのフランク・マーシャル、キャスリーン・ケネディ夫妻に生涯功労賞(Lifetime Achievement)が、そしてフィル・ティペット氏が特別賞“George Melies Award”をが贈られた事は記憶に新しい。

募集カテゴリは、映画、テレビ番組、テレビ・コマーシャル、ゲーム等のVFXに大別されるが、ミニチュアや、キャラクター・アニメーションなどに事細かに分類されており、募集カテゴリはなんと24種類にも及ぶ。


また、昨年から学生部門も新設されているので、学生諸君も要チェック!である。

筆者は毎年、このノミネート作品審査に審査員として参加しているが、日本からの応募作品はまだまだ少ない。


[第7回授賞式 受賞は逃したのもの見事ノミネートされ招待された、マーブリング・ファインアーツ社の皆さん]
6d613374.jpg今年2月に開催された第7回アワードでは、都内のミニチュア制作会社マーブリング・ファインアーツ社が手がけた映画「山のあなた 徳市の恋」の1/5サイズミニチュアセットで「Outstanding Models and Miniatures in a Feaure Motion Picture」部門に見事ノミネートされ、担当スタッフの方々が会場に招待されていた。惜しくも受賞は逃したものの、日本からのノミネートはVES史上初の快挙であった。

このように、日本からの作品がノミネートされたり、VES賞のシンボル「月面トロフィー」を獲得出来る可能性は充分にあるのである。

これを機会に、日本の映像作品を「世界に発信出来る」またと無いチャンスでもある。是非、日本からも奮って作品をご応募頂ければと思う。


[第7回授賞式で特別賞“George Melies Award”を受賞した巨匠フィル・ティペット氏]

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[エド・キャットマル氏 画像提供:VES]
Ed_Catmull_standing.jpgまた、来年2月の第8回授賞式では、コンピューター科学者であり、現在ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオとピクサー・アニメーションの社長を兼任するエド・キャットマル氏の長年の実績及び功績を称え、特別賞であるジョルジュ・メリエス賞(Georges Melies Award)を贈る事が既に発表されている。


※第8回VES AWARD詳細

 応募方法、審査料金、エントリー作品のフォーマット、受賞式の詳細等は下記を
 ご参照頂きたい。

 備考:昨年からオンラインによる作品エントリー、審査用マテリアルのアップロードが可能になった。

    発売前&公開前の作品の応募禁止等、規定が細かく定められているので、
    応募要綱をご確認の上、エントリー手続きを。

 賞の詳細、応募方法等の詳細情報:www.vesawards.com

 

※スケジュール

 WEBでのエントリー・フォーム公開開始 :10月12日

 審査用マテリアルのアップロード期間  :11月16日~11月30日
 応募締切:11月30日(米国時間)

 全カテゴリーのノミネート作品発表  :2010年1月18日

 VES会員によるオンライン審査&投票:2010年2月11日~2月22日

 授賞式:2010年2月28日(土) センチュリー・プラザ・ホテル (ビバリーヒルズ)


※24種類の各募集カテゴリは次のとおり。

Category 1: Outstanding Visual Effects in a Visual Effects Driven Feature Motion Picture
Category 2: Outstanding Supporting Visual Effects in a Feature Motion Picture
Category 3: Outstanding Animation in an Animated Feature Motion Picture
Category 4: Outstanding Visual Effects in a Broadcast Miniseries, Movie, or Special
Category 5: Outstanding Visual Effects in a Broadcast Series
Category 6: Outstanding Supporting Visual Effects in a Broadcast Program
Category 7: Best Single Visual Effect of the Year
Category 8: Outstanding Visual Effects in a Commercial
Category 9: Outstanding Visual Effects in a Special Venue Project
Category 10 Outstanding Real Time Visual Effects in a Video Game
Category 11: Outstanding Visual Effects in a Video Game Trailer
Category 12: Outstanding Animated Character in a Live Action Feature Motion Picture
Category 13: Outstanding Animated Character in an Animated Feature Motion Picture
Category 14: Outstanding Animated Character in a Broadcast Program or Commercial
Category 15: Outstanding Effects Animation in an Animated Feature Motion Picture
Category 16: Outstanding Matte Paintings in a Feature Motion Picture
Category 17: Outstanding Matte Paintings in a Broadcast Program or Commercial
Category 18: Outstanding Models and Miniatures in a Feature Motion Picture
Category 19. Outstanding Models and Miniatures in a Broadcast Program or Commercial
Category 20. Outstanding Created Environment in a Feature Motion Picture
Category 21. Outstanding Created Environment in a Broadcast Program or Commercial
Category 22. Outstanding Compositing in a Feature Motion Picture
Category 23. Outstanding Compositing in a Broadcast Program or Commercial
Category 24. Outstanding Visual Effects in a Student Project


※VESとは

 VESは「Visual Effects Society」の略。全米監督協会、脚本家協会、俳優協会等と並ぶ、ハリウッドの数ある映画ギルドの1つである。

 日本語で言うと「全米視覚効果協会」という事になろうか。

 VESは、ハリウッドを中心とする映画&テレビ等の映像業界におけるビジュアル・エフェクツ(VFX)、つまり視覚効果産業に従事するプロフェッショナル達で構成される、「VFXのプロの、プロによる、プロの為の協会」である。

 協会の設立は97年。現在の会員数は海外のメンバーも含めて1600人以上という規模を誇る。メンバーは年々増え続けており、世界最大規模のエフェクト業界のギルドである。

 会員になるには、最低5年間の現場経験を有する事が条件とされている。しかも入会の際には現役会員2名の推薦&署名が必要とされ、最終的には年2回だけ行われる理事会の承認が得られないと正式には入会出来ない。それ故に、会員は世界のVFX界において活躍しているプロばかりで構成されている。

 442be3c7.jpg[2月にはビバリーヒルズでレッドカーペットの上を歩けるかも…]















 


   過去記事はこちらからどうぞ 全目次
 



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著者に無断での転載、引用は固くご遠慮下さいますよう、
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「ザ・ディ・アフター・トゥモロー」「インディペンデンス・ディ」「Godzilla」等で知られるローランド・エメリッヒ監督の最新作で、ディザスター映画「2012」の全米公開が11月13日に迫っているが、ここロサンゼルス地方では街中の至る所に広告や看板が出現、そしてYouTubeには最新予告編がアップされる等、公開を前に、既に盛り上がりを見せている。


必見!  今現在、YouTubeで観れる最新予告編のリンクは、こちら:
http://www.youtube.com/watch?v=eZxBYItj2sM&feature=player_embedded

日本でも既に公開されている、日本語字幕入り予告編
http://www.youtube.com/watch?v=1mJSA4Z8BEk&feature=related

センチュリー・シティにある大きな看板:
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LA市内の映画館で見られるパネル:
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あまりにも荒唐無稽な光景に、人々は思わず見入っていた:
2012_2.jpg

















この作品、予告編を見る限りでは「アメリカ沈没」のようなディザスター映画だと推察できるが、注目はその尋常でなく、親のカタキの如く気合の入ったVFXだろう。

制作予算は推定で$260million(約231億円)とされており、うち相当額がVFXに投入されている事は安易に想像がつく。

しかも、この映画に参加しているエフェクト・ハウスの数も尋常ではない。

現在わかっているだけでも:

Crazy Horse Effects
Digital Domain
Double Negative
Evil Eye Pictures
Factory VFX
Final Light VFX 
Hydraulx
Image Engine
New Deal Studios, Inc.
Post Office Visual FX
Pixomondo
ScanlineVFX
SPI
Technicolor Beijing
Uncharted Territory

…などなどの15社が参加しているというから、驚きである。

LA、サンフランシスコ、ロンドン、カナダ、ドイツ、そして北京などに跨る巨大プロジェクトである。
 

中でも注目すべきは、末尾にリスティングされている 「Uncharted Territory」というエフェクト・ハウス。YouTubeの予告編では、前半のLA市街地が被災する場面や駐車場一体のVFXを手掛けているという。

同スタジオに勤務していた筆者の友人によると、このエフェクト・ハウスは自社スタジオを持たず、「出先に出向き仮スタジオを作り、仕上げて、カッコ良く去っていく」という、まるでカウボーイ映画のシェーンを彷彿させるスタイルを取っているとか(笑)

今回はSony Picturesの映画スタジオ施設に仮のVFX制作現場を作り、そこで作業を行っていたらしい。そして完成後は撤収したそうだ。

しかも、このUncharted Territoryは、3D Studio MaxをベースにVFX制作を行っており、しかもその完成度は大手VFXハウスを驚かせるようなハイクオリティをキープしている事でも知られる。

今後も要チェックのエフェクト・ハウスであろう。

さて、YouTubeの予告編にも既に登場している、サンタモニカ空港からダウンタウンLAの壊滅を手掛けたのはエフェクト全般に強いデジタル・ドメイン、ワシントンDC他の大波のシーンは流体シュミレーションに強く自社流体ツールでアカミー賞科学技術賞受賞歴もあるScanlineVFXが手掛けたそうで、それぞれのスタジオが得意分野を受け持っているのが興味深いところだ。

日本での公開は11月21日が予定されている。今年の年末の映画は、「コレで決まり」だろう。


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この『映画「2012」公開迫る』は、当ブログ用に記述した非営利のオリジナル・コラムで、日本のメディアで発表したものありません。また、掲載されている画像の著作権は、各著作者に帰属します。

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