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映像ジャーナリスト 鍋 潤太郎の随筆による、ハリウッドVFX情報をいち早くお届けします。

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[画像:昨年のクリスマスシーズンに『ボルト」を上映していた、ハリウッドの『エル・キャピタン・シアター』]
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2008年感謝祭ホリデー直前である11月17日から、ディズニーの新作長編CGアニメーション映画「ボルト(BOLT)」が全米公開された。クリスマスのホリデー・シーズンが終わる1月4日の段階で約$110millionを売り上げる大ヒットとなっている。


[画像: Read D方式の立体メガネ]

c7be7d2b.jpg筆者は公開とほぼ同時に、ハリウッドにあるディズニー直営の映画館エル・キャピタン・シアターに足を運んだ。ここではReal D方式による3D立体上映が楽しめるからだ。

余談であるが、このエル・キャピタン・シアターでは、上映前のプレショーとしてオルガン演奏、ダンサーやディズニー・キャラクター総出演のミュージカルが上演される(注:作品によってはショウが上演されない時期もある)など、ディズニー・ランド並みのショウがハリウッドで楽しめる事でも知られている。料金は一般劇場よりもやや割り高だが、ミュージカルまで観れて、これで16ドルは安いと言えるだろう。

さて、肝心の映画「ボルト」だが、筆者は最初、実はあまり期待しないで映画館に足を運んだ。

なぜなら、過去に見た予告編の印象では、この映画は単なる「ありがちなスーパー・ヒーロー犬」のお話なのだと思い込んでいた為であった。実際、筆者の周りでも、予告編に対しては同じような印象をもっているアメリカ人が多かった。

だが、それは間違っていた。

…お、おおおおお~~面白いやんけ!!!(本当)

良い意味で裏切られた作品だった。

この作品は、人気テレビ番組に出演する子役の少女ペニーと、彼女と一緒に出演している子犬「ボルト」の絆を、アクションとほのぼのドラマで描かれている、心温まるストーリー。

展開のテンポは非常にスリリングで、随所に登場するアクション描写のカッコ良さも心地良い。そして何よりも、全編を通じてストーリー・テリングがすばらしい。特に映画終盤のドラマは感動的だ。

デジタル映像は素晴らしく、劇中に登場する映画スタジオやセット、ドラマ撮影現場の描写はすごくリアルで、観ていてワクワクした。もし、ハリウッドの映画スタジオに一度でも訪れた事がある方は、そのリアルさに思わずニンマリする事だろう。

筆者は鑑賞している時、「バーバンク(ディズニーの長編アニメ部門がある地名)が作ったにしては、やけにピクサー・テイストが強い作品だな?」と思ったのだが、それもそのはず、この作品は組織改革&社名変更後のWalt Disney Animation Studiosで、「初めてジョン・ラセター氏が最初から最後まで制作にタッチした」作品なのだそう。 

人気シンガーのマイリー・サイラスが少女ペニーの声を、俳優ジョン・トラボルタが飼い犬ボルトを演じるなど、声の出演も豪華だ。

日本での公開予定は8月1日とまだまだ先だが、是非夏休みにご家族揃って楽しんで頂きたい1本である。

 


さて、ここで是非言及しておきたいのが、同時上映されたピクサーの新作短編CGアニメーション「Tokyo Mater」だ。

この短編は「ボルト」の本編前に上映され、これまた大爆笑を誘っていた。更に、3Dの立体上映であった。

これは、「カーズ」をベースにした短編で、レッカー車のメーターが主人公。ひょんな事からネオンきらめく東京へ行ってしまったメーターが、映画「東京ドリフト」で有名な大ドリフト・バトルに参戦する事に…というお話である。

「ワイルドスピード3 東京ドリフト」のパロディ風な作品だが、都会のネオンや東京タワーが登場する日本の描写が面白い。また、登場する建物には「ハリーハウゼン」という文字が入っているなど、ハリウッド業界の内輪ジョークも満載だ。

こちらも是非、お見逃しなく。
 



参考リンク:

  BOLT米国公式サイト        http://disney.go.com/disneypictures/bolt/
 Tokyo Mater (IMDB)                        http://www.imdb.com/title/tt1330219/

 ハリウッドのエル・キャピタン・シアター http://disney.go.com/disneypictures/el_capitan/

 Real D ホームページ                  http://www.reald.com/

 


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ピクサー社長のキャットマル氏の長年の功績が評価 

text by 鍋 潤太郎



 ロサンゼルスに本部を置くビジュアル・エフェクツ・ソサエティ(VES/全米視覚効果協会)は7月、2010年2月28日にロサンゼルスで開催予定の第 8回VESアワード授賞式において、エド・キャットマル博士(=写真)の長年の実績及び功績を称え、特別賞であるジョルジュ・メリエス賞(Georges Melies Award)を贈る事を発表した。

キャットマル氏は現在、ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオとピクサー・アニメーションの社長を兼任してい る。

 ジョルジュ・メリエス賞は、「科学、芸術の両面において、VFX業界に著しく貢献してきたパイオニア」に対して贈られる賞。映画黎明期にSFX技術を開 発したパイオニアでもあり、映画『月世界旅行』で有名なフランスの映画製作者ジョルジュ・メリエス氏(1861-1936)から由来している。

 同賞はこれまで、故ロバート・エイブル、フィル・ティペット氏、そしてジョン・ラセター氏などのパイオニアに大して贈られてきた、栄誉ある特別賞だ。

 エド・キャットマル博士はCG研究のパイオニアとして、"ユタ・ティーポット"で知られるユタ大学や、ニューヨーク工科大学での研究を経て、ルーカス・ フィルムへ移籍。同社コンピューター部門の副部長として活躍した後、ピクサーの設立とレンダーマン開発に携わり、一貫してCGテクノロジーの発展と共に歩 んできた人物である。

 VES代表であるエリック・ロス氏は、今回の賞の授与の意義について「エド・キャットマル博士は業界の発展に大きく貢献してきました。博士は、まさにパイオニアの"巨人"の1人として、私達の業界を常に新しい方向へと導いて来ました」と述べた。

 VESチェアであり、VFXスーパーバイザのジェフ・オークン氏は「エド・キャットマル博士は、殆ど彼の手1つでソフト&ハードの両面から、創造を成し 遂げて来たのです。それはVFX分野だけでは終わらず、ゲーム業界やコンピューター・アニメーション業界にも計り知れない恩恵を残しました。彼の偉大なる 功績には、感謝の念を堪えません」と感慨深げにコメントをしている。

 キャットマル博士は、今回の授与決定について、次のようなコメントを発表した。

 「私はこれまで、アートとテクノロジーの融合が『映画制作における表現の限界を押し広げる為の、大きな鍵になる』、と常に信じて来ました。この度、VESからジョルジュ・メリエス賞の栄誉に授かる事を、この上なく光栄に思っています」

 キャットマル博士は、過去にも数々の賞を受賞。1993年にACM SIGGRAPHより「CG界のノーベル賞」と謳われるスティーブン・A・クーンズ賞を受賞したのを始め、これまでにアカデミー科学技術賞を含む5つのア カデミー賞を受賞。2009年2月には映画業界で優れた技術的功績を残した人物に贈られる、ゴードン・E・ソーヤー賞を米国映画芸術科学アカデミーから受 賞した。

 第8回VESアワード授賞式は来年2月28日、ハイアット・リージェンシー・センチュリー・プラザ・ホテルにて開催される予定。20以上の専門カテゴリに分かれた、各最優秀VFX作品の授賞式、そして特別賞などの授賞式が行われる。

 VESアワードには日本からも応募が可能な事は、意外と知られていない。ちなみに今年は映画「山のあなた」のミニチュアワークで、マーブリング・ファインアーツ社がVES史上初めて日本からミネートされた快挙を成し遂げたのは記憶に新しい。

 日本からも、奮っての応募を期待したい。

※VESとは:
 VESは「Visual Effects Society」(全米視覚効果協会)の略。全米監督協会、脚本家協会、俳優協会等と並ぶ、ハリウッドの数ある映画ギルドの1つである。

ハリウッドを中心 とする映画&テレビ等の映像業界における視覚効果産業に従事するプロフェッショナル達で構成される、「VFXのプロの、プロによる、プロの為の協会」であ る。

 協会の設立は97年。現在の会員数は米国の会員を中心に約2,000人。メンバーは年々増え続けており、世界最大規模のエフェクト業界のギルドである。

 会員になるには、最低5年間の現場経験を有する事が条件とされている。現役会員2名の推薦が必要とされ、最終的には年2回だけ行われる理事会の承認が必要となる。

VESのサイト:http://www.visualeffectssociety.com/
VESアワードのサイト: http://www.vesawards.com/


 

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