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ロサンゼルスのバーバンクに、ディズニーのデジタル部門を集結したビル、FAN(Feature Animation Northside)がある。
ここは、ディズニー・フィーチャー・アニメーションと、ディズニー傘下のVFX会社だったドリーム・クエスト社とが2年前に統合された施設で、文字通りディズニーの「デジタルの心臓部」として鎮座している。
ここで製作された作品は「ダイナソー」「102ダルメシアン」「ミッション・トゥ・マース」等の映画作品や、ディズニーのテーマ・パークで上映されている多くのアトラクション映像等、多岐に渡る。
9月に東京にオープンしたディズニー・シーの「マジックランプ・シアター」で上映されている、フルCGの立体アトラクション映像も、ここで製作されたものである。
この中の、特に、元ドリーム・クエスト社のチームを中心とする、実写とデジタル・エフェクツの合成を得意とする部門、これをザ・シークレット・ラボ(The Secret Lab)、通称TSLと呼んいる。
「ダイナソー」の製作中にこの呼び名になり、約2年間の歴史がある。
TSLは、ディズニー・フィーチャー・アニメーションの中の1部門という位置付けで、これまで製作を行ってきた。
しかしこの程ディズニーは、この1部門である、TSLの2年間の歴史に幕を降ろし、規模と人員削減の実施を行う事を全米のメディアに発表した。
FANビルでは、1700人のスタッフが働いているが、これを1350人まで削減。これにより、VFX(実写とCGの合成)の受注分野から足を洗い、フルCG映画や長編アニメ作品等の「本業」に専念する事になる。
ハリウッドでは、これ迄にもワーナーが、97年に自社のデジタルビジュアルエフェクツ部門を閉鎖しており、これでハリウッドの映画会社が自社内に特撮部門を持っているのは、ソニー傘下のソニー・イメージワークスだけとなる。ディズニーでは、これ以外にも世界的規模での人員削減を実施しており、LA TIMES等が報じたところによれば、これまでに4000種もの職が既にカットされたという。
ディズニーの熟練アニメータのサラリーは、週1500~3000ドル、高い人で週5000ドル、“スーパースター・アニメーター”になると年俸で100万ドルにもなるが、現在有効の契約書が満期を迎えた段階で、社員によっては30%から50%のペイカットも予定されている。ディズニー・フィーチャー・アニメーション及びTSLでは複数の日本人アーティストも働いているが、幸いな事に全員リストラや解雇は免れており、今後もディズニー・フィーチャー・アニメーションにてプロダクションワークに従事する模様。
ディズニーは、高騰するプロダクションコストを押さえつつも、今後も継続して良質な長編作品の製作に望んでいく構えである。
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(C)1997-2009 All rights reserved 鍋 潤太郎
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CGのパイオニアであり、数々の受賞経歴のある特撮界の先駆者、ロバート・エイブル氏(愛称:ボブ・エイブル)が、9月23日に心臓麻痺の為、ビバリーヒルズの病院で亡くなった。
エイブル氏は1937年生まれ。1971年にロバート・エイブル・アソシエイツ社を設立し、コンピュータをビジュアル・エフェクツの分野に持ち込み、誰も観た事がないような映像を次々に生み出し、特撮映像界の「デジタル革命」の仕掛け人としても知られている。
CGの分野においても80年代に、かの有名な「セクシー・ロボット」を始めとする斬新や映像や、「セブンアップ」のCF等でテレビ映像界にセンセーショナルを巻き起こし、注目を浴びた。
映画の分野でも「トロン」や「2001年宇宙の旅」のスリット・スキャンのシークエンス等でその才能を発揮した。
ロバート・エイブル・アソシエイツ社は後に解散したが、そのスタッフ達はリズム&ヒューズを始めとする多くの著名プロダクションで現在も活躍している。
エイブル氏はUCLAにて教鞭を取り、その教え子にはハリウッドで活躍する映像クリエイターが多数含まれている。日本では、ポリゴン・ピクチャーズの設立者であり元代表の河原敏文氏が、彼の生徒の1人である。
筆者はつい数ヶ月前、ハリウッドにあるGnomon School of Visual Effects で開催された、エイブル氏の講演に参加した。その際、同氏より「2001年」の舞台裏を中心に、興味深い話を沢山聞かせて頂いた。講演後に筆者が話しかけると、笑顔で気軽に応じてくれるような、大変気さくな方だった。
巨匠ロバート・エイブル氏のご冥福を心からお祈りしたい。合掌。
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