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ハリウッドのフォトケム、ドレミ、そしてクリスティが3社共同で、ハリウッドのメジャー作品としては初めてデジタル・シネマ規格に沿ったデジタル・マスターを手掛ける ハリウッド映画「セレニティ」~


ハリウッドのポストプロダクションであるフォトケム(Fotokem Film&Video)、ドレミ・ラボ(Doremi Labs)、そして映写機器の老舗であるクリスティ(Christie)の3社はこの程、ハリウッドのメジャー作品としては初めて、規格に沿ったデジタル・シネマ配給用マスター[Digital Cinema Distribution Master (DCDM)]を全米公開中の映画「セレニティ」で採用したと発表した。

このDCDMは、ハリウッドのDigital Cinema Initiatives (DCI)の規格に沿ったもので、デジタル・シネマ・パッページ[Digital Cinema Package (DCP)]として配給用に使用される。


映画「セレニティ」(ユニバーサル・ピクチャーズ製作)のデジタル・マスタリング作業は、DCPに必要とされるワーク・フローのモデル・ケースとして進められた。

フォトケムでは、DCDMを2Kの解像度のデジタル・インターミディエト・ファイルから直接変換。ドレミ・ラボでは、オーディオ情報を基にこれらの画像を編集し、DCPを起こした。

クリスティでは、DLP Cinema®を使用してのDLP上映のテストを担当した。

DCIは、7つのメジャー・スタジオ(Disney, Fox, MGM, Paramount, Sony, Universal,Warner Bros)が協働で設立し、デジタル・シネマにおける企画のガイドラインを開発するのが目的。過去3年の研究の末、今年7月にそのDCI規格が発表されたのは記憶に新しいところだ。

今回の、映画「セレニティ」にDCDMとDCPの採用は、DCIスタンダード規格を使用した実例として、今後更なる拡大が予想されるデジタル上映における「メジャー・マイルストーン的役割」を果たす事が期待されている。

今のところ、映画「セレニティ」の公開は、その多くが"伝統的な"フィルム映写によって全米の映画館で上映されているが、このDI(デジタル・インターミティエート)作業はフォトケムによって行われ、フィルムからスキャンされた2K画像は、最終的にDCDMに変換された。

フォトケムのデジタル・フィルム・サービス部門ゼネラル・マネージャー、ビル・シュルツ氏によれば、「フォトケムではハード&ソフトの両面の視野からパイプラインが構築され、XYZの座標軸を持つ3Dルックアップ・テーブルによって、デジタル・プロジェクション対応のカラー・スペース変換が行われている」との事だ。

「最大のチャレンジは、デジタル・シネマのカラー・スペースに直接、コンバートする事だった。XYZのカラースペースを、ビット深度と画質を損なわないようにするのは勿論の事、高速で処理する事が可能なメソッドを開発した」とシュルツ氏は語る。


フォトケムは、この作品を、1コマあたり132Mバイトというファイルサイズの、16bit tiffファイルによってドレミ・ラボに納品。ドレミでは、これをJPEG2000と、オーディオ情報と合わせたMXF(Media Exchange Format)ファイルに変換し、マスタリング・ステーションに読み込む。

こうしてデジタル・マスタリングが終わると、クリスティーのデジタル・プロジェクターでの上映に対応する配給用フォーマットDCPとなる。

ドレミ・ラボのテクニカル・ディレクター、カミリー・リッツコ氏によれば、「我々のマスタリング・ステーションでデジタル・マスタリングされた完成原版は、最高レベルのセキュリティー方式により、スタジオの著作権を侵害するような事がないよう万全の処理が施されている」との事。

「これまで、何本もの映画が既にデジタル上映されてきたが、この『セレニティ』での特徴は、初めてJPEG2000によるプロジェクションを採用した事」と同社シニア・プロジェクト・マネージャーのブライアン・クレイプール氏は語る。

この方式と併用するクリスティーのデジタル・プロジェクターCP2000は、スペック上は最大で35兆色(35 trillion colors)の色数をスクリーン上の映像で観る事が可能で、その美しさは「驚異的」だという。

「JPEG2000でのデジタル・プロジェクションでは、サーバーから12bit 4:4:4のDCI XYZカラースペースを使用し、デュアル・リンクのHD-SDIインターフェイスを介してプロジェクターへと送られる。「セレニティ」はその最初の使用例となった」

ハリウッドではDIによるマスタリングがもはや主流となりつつあるが、夏以前は確固とした標準規定がなく、撮影監督もDI現場も手探り状態という感があった。しかし、DCIによる規格が提唱された事で、今後予想されるデジタル・プロジェクションの更なる普及と拡大が期待されている。


※フォトケム(FOTOKEM FILM&VIDEO)

バーバンクに施設を構える大手の総合ポスト・プロダクション。創業は1963年で、フィルムの現像からDIによるファイナルまでの、川上から川下までを手掛けている。現像ラボは16mm,35mmそして65/70mmの各フィルムに対応しており、アンサー・プリント、リリース・プリントも手掛けている。他のサービスとして、レストレーション、テレシネ、デュプリケーション、大型映像のスキャンニングとレコーディング、そしてHD変換やDVDマスタリングなどを行っており、日本の映画業界からの顧客もある。(www.fotokem.com


※ドレミ・ラボ(About Doremi Labs)ドレミ・ラボは、VDR(ビデオ・ディスク・レコーダー)の開発&販売の老舗として知られており、業務用ビデオ&オーディオ市場にサービスを提供してきた。ドレミのV1シリーズVDRは数千の納入実績を持つ。[www.doremilabs.com]

 

※クリスティー (Christie Digital Systems, USA, Inc.)世界規模で映画用映写機器を手掛ける老舗。1929年から映写機材を手掛ける先駆者的存在であり、映像、ビジネス、エンターテインメント業界で実績を残している。デジタル・プロジェクション分野においては、1979年から研究開発を開始している。クリスティは、映画分野、大規模なイベント、施設のコントロール・ルーム、ビジネス・プレゼンテーション、トレーニング施設、バーチャル・リアリティ、教育施設、政府機関等にそのサービスを提供している。[www.christiedigital.com]

※DLP Cinema® はTexas Instrumentsの登録商標



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