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下記は、CGワールド誌3月号(vol.127)の62ページに掲載された記事だが、1ページという限られた掲載スペースに収める為、編集部さんの手腕で要点を残しつつ、泣く泣くカット&短縮されたものが掲載された。
ここでは、その原文/全文をご紹介しよう。
米VES提唱「ジョブ・タイトル・ガイドライン」 邦画クレジットでも採用が始まる (03/06/2009)
筆者が本誌11月号(Vol.123)"Editors Eye"でご紹介したように、ハリウッドのVES(米視覚効果協会)は、昨年6月に「ジョブ・タイトル・ガイドライン」を発表した。
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これは、映画のエンドクレジットにおけるVFX関係のジョブ・タイトルを、どのように表記すべきかの基準をまとめたガイドラインである。
この発表を受けて、これに沿ったジョブ・タイトルでエンドクレジットを記載した映画作品が既に2作、日本国内で公開された。
昨年10月18日から2週間限定で公開されたフルCG映画『バイオハザード ディジェネレーション』と、11月15日から公開された映画『ハッピーフライト』である。
日本の映画業界の現状の中で、果たしてどのようにこのガイドラインが導入されるに至ったのか、それぞれの作品に携わったお二方にご意見を伺ってみた。
☆事例その① 映画『バイオハザード ディジェネレーション』
豊嶋 勇作氏 デジタル・フロンティア CGプロデューサー
昨年10月18日~31日までの間、東京・大阪・名古屋の3箇所で2週間限定で公開されたフルCG映画『バイオハザード ディジェネレーション』。
デジタル・フロンティアでは、過去に手がけた『アップルシード』2部作がアメリカの映画館でも公開された。そんな中で豊嶋氏はエンド・クレジットの表記方法には苦労してきたという。
『以前から「CGデザイナーって何?」と言う声は社内外でもあったのですが、如何せん日本では海外のような分業体制がほば無いという状況がある為、これまで「CGデザイナー」という総称を便宜上、暗黙の了解で使用してきました。
「CGデザイナー」という言い方が染み付いてしまった我々には、英語圏でよく使用されている「デジタル・アーティスト」という響きにどうも口幅ったい思いを受けてしまっていました。「アーティスト」という単語に対する畏敬の念を覚え、恥ずかしい気がしてしまうが故の事なのですが。
「アーティスト」が自分との対話でモノが生み出されるのに対して、基本的に受注ベースで仕事をやっていて、監督の指示に対して、もしくは監督との対話でモノを作っていくというところだと、「クリエーター」がいっぱいいっぱいなんじゃないかと…。
世界標準に合わせたいと思いつつも、作業工程の仕組みをジョブ・タイトルに合わせていくのも非常に難しいところでした。
そんな折、6月にVESからガイドラインが出されたのを受けて、まずは分業されていないチームに対しては”Digital Artist”というくくりを検討してみました。
そこで、映画『バイオハザード ディジェネレーション』では、エンドクレジットをVESのガイドラインに沿ったもので表記してみました。
ただ、VESのガイドラインは実写ベースのVFX作品を前提に作られており、フルCGだと当てはまらないものもあったので、ピクサー作品のエンド・クレジットなども参考に、合わせ技で表記しました。』
☆事例その② 映画『ハッピーフライト』
野口光一氏 / VFXスーパーバイザー
『ハッピーフライト』(監督:矢口史靖)は2008年11月15日に公開され、CGやミニチュアを駆使したVFXが効果的に使用された作品としても話題だ。既にご覧になった方も多い事だろう。
野口氏は、97年に倒産したハリウッドの著名VFXスタジオ「Boss Film」で活躍した経歴を持つ。ハリウッドの制作スタイルや、英語圏のVFX業界にも造詣の深い野口氏は、VESがガイドラインを発表した事を受けて、それに沿ったジョブ・タイトルをエンドクレジットで使用してみたという。
「これまで、各映画作品でクレジットの付け方はいつも悩んでいたのは事実でした。実製作よりクレジットの方が頭を痛めていたかもしれせん。会社の順番、各会社のクレジットのライン数などにも気を使います…。
特に、1つの作品のVFXを複数社で仕上げる場合、各社からまちまちのクレジットタイトルが届きます。
CGアーティスト、CGデザイナー、CGIデザイナー、コンポジター、クリエーター、CGクリエーター、CGIクリエーター、モーションデザイナー、などなど…
映画プロデューサーから「統一したタイトルでお願い出来ませんか?」とも言われてきました。また肩書きによっては「何をしているかよくわからない」という意見も出ました。
各自、肩書きにこだわりもあるので、一概に変更するのも申し訳ないという気持ちもあります。
また、VFX制作者のタイトルでは「プロデューサー」を使用する事はNGとなってしまいます。映画プロデューサーと区別する為、「CGプロデューサー」か「VFXプロデューサー」に変更する必要があります。
そんな現状の中で、以前からVESの存在は意識していた事もあり、『ハッピー・フライト』ではガイドラインに沿って「デジタル・アーティスト」で統一してみました。自分の経験の中でも初めての試みです。
今後の課題は、現在日本で浸透している「プロダクション・マネージャー」をどう表記していくかです。
また、私は個人的に「デジタルエフェクト」という言葉がVFXには適していると思うのですが、日本では認知度が低いが故、クレジットしにくい。
今後、こう言った課題も検討していきたいと考えています」
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もともと、VESが「ジョブ・タイトル・ガイドライン」を発表した目的には、ハリウッドでもスタジオ毎にまちまちになっていたジョブ・タイトルを統一したいという趣旨が含まれている。
日本のCGアニメーション作品や映画、そしてゲーム作品がどんどん海外にも出ていく時代になり、和製英語である「CGデザイナー」というジョブ・タイトルではなく、業界のガイドラインにそった表記を用いる事で、日本の映像業界の国際化が更に進んでいくのではないだろうか。
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