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数あるディズニー・アニメーションの中でも歴史に残る長編作品「Sleeping Beauty」(1959年作品)が、43年ぶりに銀幕に"復活”した。
 
ハリウッドにあるディズニー直営の劇場El Capitan Theatreでは、8月22日から9月8日までの2週間、公開当時と同じ、テクニカラーによる70mm(フィルムの幅が7センチもある大型フォーマットのフィルム)による特別限定上映が行われ、話題を呼んでいる。

1959年当時、7年の歳月と$6millionというアニメ映画最高の製作費(当時)を掛けて製作されたこの作品は、テクニカラーによるカラープロセスと、テクニラマ方式による70mm上映フィルム、そして6チャンネルのステレオサウンドという、類を見ない方式で公開された。

「テクニカラー」とは、ハーバート・カルマス博士が1932年(!)に完成した3色分解式の映画用カラー・プロセスの事で、現在の米国テクニカラー社のルーツとも言える。

カメラで撮影した映像をプリズムと3色分解フィルターを介して、シアン/マゼンタ/イエローの3本別々のネガに記録するという非常に贅沢な手法で、退色がないのがウリ。

一方、テクニラマ方式とは、35mm8Pネガから70mm5Pの上映用プリントを起こす方式で、6チャンネルステレオの磁気トラックがついている。

これらを忠実に再現し、再び70mmの大画面で公開しようという、非常に贅沢な試みである。「Sleeping Beauty」はこれまでにも映像フェスティバル等で上映された事があったが、いずれも35mmプリントによるもので、70mm上映ではなく、今回はハリウッドの関係者も注目する特別「リバイバル」となった。
 
筆者も早速、El Capitanに足を運んだ。映画の前にはオルガンによるディズニー・ヒットナンバーの生演奏がある等、直営劇場ならではの心ニクイ演出もあった。

今回の上映には、本編以外にも嬉しいオマケがあった。

1935年にアカデミー賞を受賞した、管弦楽の楽器のルーツを紹介した短編アニメ"Toot, Whistle,Plunk and Boom"や、59年に「眠れる森の美女」が全米公開された際のオリジナル予告編等が上映された他、9月20日より同劇場で公開となる宮崎駿監督の「Spirited Away(千と千尋の神隠し)」の予告編も登場した。その後、本編の上映となった。
 
この、有名な「Sleeping Beauty」の存在は知っていても、筆者は今迄に一度も鑑賞する機会がなかった。

初めて観るこの作品だが、43年が経過したとは思えない発色や、完成度の高いアニメーションには、ただただ驚くばかりだった。この特別上映はいろんな意味で、非常に貴重な体験となった事は間違いないだろう。

El Capitan劇場は往年のファンや映像関係者、そして家族連れでにぎわっていた。

 


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