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ここロサンゼルスでは、ACM SIGGRAPHの地方分科会である"LA SIGGRAPH"の月例会が毎月開催されている。内容は毎月異なり、新作映画のお披露目やメーキング講演だったり、目新しいテクノロジーの紹介だったりする。
この月例会には誰でも参加出来、会員(年会費$25.00)になれば参加費は無料、非会員でも会場で10ドルを支払えば参加する事が可能だ。
今月の会場は、LA SIGGRAPHではお馴染みの場所となりつつある、ノース・ハリウッドにあるアカデミー財団の施設、Academy Of Television Arts & Sciencesの豪華な試写室であった。
この日の月例会では、HoudeniでおなじみSide Effects Software社と、LAのアートスクールThe Art Institute of Los Angelesがホストを務め、「Small Shops, BIG PUNCH」銘打った講演が行われた。
ロサンゼルスには小規模ながら質の高い映像を製作するエフェクト・ハウスも多く、様々なジャンルで幅広く活躍している。
そんな小規模なエフェクト・ハウスが、どんな作品を作り、大手に対してどんな対抗策を取っているのかを、それぞれのスピーカー達に語ってもらおう、という趣向であった。
Side Effectsが共催している関係から、Houdeniのユーザーも多く、会場ロビーではHoudeniの実演も行われていた。
Los Angeles ACM SIGGRAPH Presents
Small Shops, BIG PUNCH
Tuesday 12 February 2002
6:30 - 7:30 p.m. Social Hour
7:30 - 9:30 p.m. Presentations
LOCATION
Leonard H. Goldenson Theater
Academy of Television Arts & Sciences
5230 Lankershim Blvd. North Hollywood, CA 91601
パネラーの顔ぶれ:
GLENN CAMPBELL, Moderator
DENIS GAUTHIER, Senior Computer Graphic Artist, A52
DAVID SANTIAGO, Senior Effects Technical Director, Asylum Visual Effects
TIM McHUGH, Founder, Area 51
MARK DRISCOLL, President/Executive Producer, Co-Founder, LOOK! Effects
MAX IVINS, Visual Effects Supervisor, Co-Founder, Look! Effects
この日の講演の前半は、各社のデモリールの上映とその解説が中心。
映画のワンシーンであったり、テレビ・シリーズのVFXだったり、テレビCMだったり、ミュージック・ビデオだったりする。
字数の関係等からそれらの詳細をご紹介出来ないのは残念だが、これらのビデオを観る限り、各社とも大手に負けない丁寧な仕事をしている事が伺えた。
各社の映像プレゼンテーションの後は、パネラーがステージ上に一同に会してパネル・ディスカッションが行われた。その内容を要約してご紹介しよう。
○小さいスタジオは大手に比べ、レイオフ等の危険は少ない。しかし、良いスタッフ達を継続してキープしていく、安定した経営努力が必要だ。
○CMなどは、ものによるが、大体1本$1million(約1億3千万円)位の予算で、3~4週間位で仕上げる場合が多い。
○今迄に作ったテレビ・シリーズのエフェクトは、1話の総製作予算が$700,000(約9千万円)で、その中からデジタル・エフェクツに予算が割り振られるという場合が多い。
○ミュージック・ビデオは、納期が非常に短い場合もある。極端な場合、週末に実写の撮影をして、次の1週間でCGやら編集やら行い、次の週末にNYのMTVでオンエア、なんて事もあった(爆)
○(新卒の学生が入りこむ余地はあるか、の質問に対して)応募する際、あなたが優秀である事を、うまくプレゼンテーションする必要がある。
近いうちに、ディズニーのTSLから300人近い人材が放出され、次の仕事を探す事になる。その頃、あなたが仕事を得る為には「自分は彼らよりも優秀である」という事を証明しなければならない。
新卒の学生の場合、どうあがいても、実務経験がないので、彼らの持っている「経験」にはかなわない。しかし、あなたのポートフォリオの中に、非常に美しいドローイングがあって、それが審査員の目を引けば、採用される可能性は多いにある。
もしあなたが本当に優秀であれば、“経験に勝る何か”をうまくプレゼンする事が、非常に大切である。
○質疑応答
という内容であった。
この日の月例会は、9割程の入りでなかなかの盛況であった。それと言うのも、この不況のさ中にあって、小規模のスタジオで働いているクリエイター達の共感を生む講演タイトルだった為だと思われる。
ハリウッドの映像産業は、実はこれらの中小のエフェクト・ハウスに支えられ成り立っているのかもしれない、そう思いながら会場を出た。
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