忍者ブログ
映像ジャーナリスト 鍋 潤太郎の随筆による、ハリウッドVFX情報をいち早くお届けします。

<絶賛発売中>ハリウッドVFX業界就職の手引きcghollywood.jpg 海外をめざす方の必読本!


 


[画像:デジタルドメイン ベニス本社(著者撮影)]
41801496.JPG















ハリウッドで16年の歴史を誇る大手エフェクト・ハウス、デジタル・ドメイン(DIGITAL DOMAIN INC. / カリフォルニア州ベニス)はこの程、カナダのバンクーバーと、米フロリダ州のポートセントルーシーに新拠点をオープンする事を正式に発表し、ハリウッドの業界関係者を仰天させている。

カナダのバンクーバーのスタジオについては、10月6日付で発表が行われた。デジタル・ドメイン・バンクーバーは20,000スクエアフィート(約1,858平米)のスタジオ・スペースを確保し、これからカナダ人を中心に50-60規模のスタッフを雇用し、来年初頭のオープンを目指している。最終的には100人以上の制作体制に持っていく構えだ。

ここで稼動するプロジェクトは、現在LAのデジタル・ドメインで制作が既に進められているディズニーの立体映画「Tron:Legacy」(通称「トロン2」 / 2010年12月17日公開予定)のプロダクションが走る予定だという。

この背景には、1000を越える膨大なショット数を有する「Tron:Legacy」をLAのデジタル・ドメインだけで全て処理するには限界があった事、そして2005年頃からカナダ政府が各VFXスタジオに打診していたバンクーバーでのスタジオ運営プランと税優遇策の提案に、同社のニーズが合致した為と見られている。

この提案では、①バンクーバーにスタジオ施設を構える事、②スタッフの大部分はカナダ人を雇用しなければならない事、等を条件としており、カナダの雇用促進と、バンクーバーでのハイテク映像産業誘致の2本柱がポイントとなっている。

しかもカナダドルはアメリカドルと比較すると安く、人件費もカナダの方が割安となる為、一定規模以上の大型プロジェクトを走らせるにはカリフォルニアで行うよりもコストを大きく抑える事が出来る。しかも、カナダ政府からの税優遇策があるとなると、なおさらである。

ちなみに、バンクーバーではこのカナダ政府のプランに則り、これまでにPixar、MPC、Zoic、CIS、Stargate Studios ,The Orphanage(2月に解散)などのプロダクションが既にスタジオを構えており、バンクーバーでのスタジオ開設自体はもはや珍しい出来事ではなくなっている。

しかし、デジタル・ドメインによるこの発表は、プレス・リリースと、全社員向けメール配信が、ほぼ同時に行われた為、事前に何も知らされていなかったデジタル・ドメインの社員達の間では驚きの声が上がっていたようだ。


一方、フロリダ・スタジオについては、バンクーバー・スタジオのプレス・リリースが配信されたわずか一週間後である10月13日、プレス・リリースと全社員向けメール配信が、これまた同時に行われた。

フロリダ州ポートセントルーシーに来年オープン予定というこのスタジオは、デジタル・ドメインの親会社である投資グループ会社ワインドクレスト・ ホールディングスが$50million(約44億円相当)を出資し、それと並行してフロリダ州の観光&貿易&経済開発部門のサポートを受けながら進めるというもので、こちらもフロリダ州からの優遇措置が大きなアドバンテージとなっている模様だ。

フロリダ・スタジオの業務は、ゲーム及び劇場用長編アニメーション作品のオリジナル・コンテンツ開発と制作を主軸としていく計画だという。

デジタル・ドメインCEOのクリフ・プルマー氏は「オリジナル・コンテンツの開発は常に重要な方策である。既にいくつかの有力候補プロジェクトがフロリダでのスタートに向けて準備中であり、開始が今から楽しみだ」と言うコメントを発表している。

フロリダ・スタジオで実際に走る作品名や詳細については、後日改めて発表されるという事だが、ワインドクレストのCEOジョン・テクスター氏は「クリフと彼のチームは、これまでにも世界中から優秀な人材を集めた経験があり、彼らはフロリダでも歓迎される事になるだろう」と話している。

----

デジタル・ドメインは、2005年5月、フロリダを拠点とする投資グループ会社ワインドクレスト・ ホールディングスに3500万ドルで買収されたが、当時は「マイケル・ベイがDDを買収」というニュースをウォール・ストリートジャーナルやハリウッド・リポーター等の著名メディアがトップで報じ、業界を驚嘆させたのが記憶に新しい。


関連記事:

デジタルドメイン関連ニュース一覧


 

   過去記事はこちらからどうぞ 全目次
 



上記の記事は、当ブログ用に記述した非営利のオリジナル・コラムで、日本のメディアで発表したものありません。また、掲載されている画像の著作権は、各著作者に帰属します。

著者に無断での転載、引用は固くご遠慮下さいますよう、
お願い申し上げます。

転載や引用をご希望の方は、お問い合わせページ
よりご連絡下さいませ。

(C)1997-2009 All rights reserved  鍋 潤太郎 


 


PR
鍋潤太郎の著書
サイト内検索
カテゴリー

Copyright © [ 鍋 潤太郎☆ハリウッド映像トピックス ] All rights reserved.
Special Template : 忍者ブログ de テンプレート and ブログアクセスアップ
Special Thanks : 忍者ブログ
Commercial message : [PR]