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8月14日、長編アニメーション映画『PONYO(邦題:「崖の上のポニョ」)』(宮崎駿監督)がディズニーの配給により全米で公開された。
今回「ポニョ」の全米公開は927館で封切られた。通常、米メジャー映画のオープニングでは3000-4000館規模で上映される為、この927館という数字は、さほど多い館数ではない。しかし、過去のジブリ作品の全米上映規模と比較してみると最多になる。
例えば、2005年6月の「ハウルの動く城」の全米公開時は、まず18都市の36館で先行限定上映が行われ、その1週間後からは上映規模が202館に拡大された。また、2002年9月の「千と千尋の神隠し」では全米主要10都市、約100箇所という限定上映だった。
これを見ると『ポニョ』では、『ハウル』と比較すると約3倍という上映規模で全米配給されている事がわかる。この影には、米国版公開のエグゼクティブ・プロデューサーとして参加しているジョン・ラセター氏による尽力があった事が推測出来る。
[Pacific Grove Theaterにて、筆者撮影]
さて、気になる売り上げだが、『ポニョ』の公開最初の週末の売り上げは$358万ドル(約3億5千万円)で、Box Officeのランキングは初登場第9位だった。
1スクリーンあたりの売り上げは$3,868(約38万円)。ちなみに『ハウル』の時の同売り上げは$11,888(約118万円)だった事を鑑みると、『ポニョ』は1/3程度に留まっている事がわかる。
ただ、これは公開時期にも多少問題があり、話題のエイリアン映画「District
9」のオープニング公開とモロにバッティングした事、そして公開2週目で大ヒット中の「G.I.
Joe」の影響が大きい。公開時期を7月にしていれば、もう少し初期売り上げが期待出来たかもしれないが、今後クチコミで売り上げが伸びる事を期待した
い。
さて、筆者は早速公開初日に映画館に足を運んでみた。驚く事に、場内はほぼ満席だった。家族連れが多く、年配のおじいちゃん・おばあちゃん、そしてカッ
プル等、非常に幅広い年齢層だったのが大変印象的だった。(ちなみに「District9」や「G.I. Joe」は20代、30代が多い)
上映は英語吹き替えで、ボイス・オーバー(吹き替え)はマット・デイモンや、ケイト・ブランシェット、ノア・サイラス、フランキー・ジョナスなどの人気スターが顔を揃えている。
アメリカ人観客に特にウケていたのは、ポニョが寝そうになるシーンや、宗助とポニョが家で暖かい飲み物を飲むシーン、など、セリフが無く"ストーリー・テリング"に優れたシーンが多かった。これは、宮崎監督が得意とする演出であろう。
エンディング・テーマは、日本では御馴染み、藤岡藤巻&大橋のぞみコンビによる「あの」曲ではなく、アメリカ・バージョンが採用されている。
こちらはもちろん英語。曲の前半ではオリジナル・テイストを残しているが、後半はラップ調で、アメリカの子供達向けの構成になっていた。
エンドロールは日本版のクレジットを英語に置き換えた「英語版」だが、背景やアイコンをそのまま忠実に継承したレイアウトだった。
映画が終わると、場内からは拍手が沸き起こった。小さい子供達は「ポニョがカワイかった」と満足げだった。
映画の冒頭と最後には、配給したディズニーによるシンデレラ城のロゴ・アニメーションが挿入されていたので、予備知識なしに映画館に足を運んだアメリカ人の中には「ディズニーのアニメ」だと勘違いしていた人もいたようである。
宮崎駿監督は公開直前の7月に訪米し、サンフランシスコやロサンゼルスで講演を行った。ビバリーヒルズにあるアカデミー財団の試写室で開催された講演で
は、会場はハリウッド関係者で埋まり好評を博していたという。宮崎監督は、サンフランシスコ講演の際、兼ねてから親交のあるピクサー・アニメーションスタ
ジオにも立ち寄り、ポニョの縫いグルミをお土産としてピクサーに置いて帰ったそうである。
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