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映像ジャーナリスト 鍋 潤太郎の随筆による、ハリウッドVFX情報をいち早くお届けします。

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先日、読者の方から、下記のようなご質問を頂きました。大変興味深い内容ですので、今回のコラムでは、ちょっとご紹介してみましょう。

ご質問:

 海外のVFXスタジオでは、WEB上でデモリールを公表していますが、デモリールに著名な俳優や女優が映っているのを良く見かけます。

 日本国内の事例では、VFXショットに俳優さんや女優さんが映っていると、所属事務所などからデモリールへの使用にOKが出ない場合が多く、いつも歯痒い思いをしています。

 特に、映画のVFXでは、オイシイ所には必ずと言って良い程、俳優さんや女優さんが映っている事が多く、会社のデモリールに使用する事が困難な場合が多々あります。

 ハリウッドのVFXスタジオでは、デモリールを作る際、どのように許可を取っているのでしょうか?


ご回答:

 さっそく、とあるVFXスタジオのPR担当者さんに伺ってみました。すると、このような返事が帰ってきました。

 「それは、大変良い質問です。(←アメリカ人は、答えに困ると、とりあえずこう答える習性があります)

  弊社では、映画スタジオとの契約内容を厳守しながら、非常に注意深くデモリールを構成するように心掛けています。

  殆どの場合、映画スタジオからは「会社のプロモーション(company promotion)に限定した使用のみ許可、それ以外の如何なる用途での使用も一切禁止」という条件で、使用許可が出ます。

  実際に"映画会社と俳優達との間でどのような契約が交わされているのか"に関しては、残念ながら私には分かりません。」


 …という事でございました。
 
 
 さて、下記は筆者が見聞きした範囲の、あくまでも「憶測」ですが、

  ・デモリールに映像を使用する場合、エフェクト・ハウスのPR担当者がその都度、映画スタジオに許可を申請しているようです。
 
  ・おそらく、俳優が含まれている画像は、映画スタジオが指定する「プロモーション」の範囲であれば使用可能という契約が、映画会社と俳優との間で、事前に締結されているのだと思われます。
 
  ・プロモーションの条件の細部は、各映画や作品によって契約内容が異なると思います。

  ・特に、公開前の作品については、かなりの制限が伴います。例えば「映画スタジオ側が用意した静止画のみ使用可能」、のように、制限付で許可が出る場合もあります。また「A月B日まで、如何なる画像や、メーキング関連情報の露出を禁止」という場合もあります。
 
  ・ただ、これまでVFX業界内部や、VES等のコンファレンスで、俳優が映っている映像に関するトラブルというのは耳にした事がありません。おそらく前述のように、(映画スタジオ←→俳優)間で契約書にサインする段階で、それらが契約に盛り込まれている為ではないか考えられます。

  ・これらを含めて、映画スタジオが「作品に関する全ての権限を握っている」という印象を受けます。
 
  ・そういえば、業界向けの試写会やメーキング講演会の時、冒頭で「今日の試写会での上映を快く許可してくださった○○○映画の皆様、ありがとうございました」というお礼のコメントが入る事もあります。このように試写1つにしても、映画スタジオに許可を貰わなければならないようです。

  ・逆に言えば、基本的に映画スタジオを通せば「プロモーション目的」での使用や、「業界向け試写会」での許可はクリアされる、という仕組みになっているように思います。
 
  ・これらは、営利が直接的に絡まない(映画会社や俳優に損害が出ない)為かもしれません。逆にDVD販売やネット配信等の2次利用で営利が絡む場合は、頻繁に裁判のネタになっております。
 

…以上、ご参考くださいませ。
 

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※すべてのご質問にお答え出来ない場合もございますので、ご了承ください。
※お答えした内容について、その結果生じた如何なる損害に対しても、保障は致し兼ねますので、ご了承ください。

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上記コラムは、当サイト用に随筆したオリジナル・コラムです。

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