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[雨の中、VFXノミネート作品を決める「ベイクオフ」は行われた]
1月21日(木)、ビバリーヒルズにある米国映画芸術科学アカデミーの試写室Academy's Goldwyn Theaterにおいて、第82回アカデミー賞視覚効果賞ノミネート作品3本を決定する為のプレゼンテーション「ベイクオフ」が開催された。
この日は、ノミネート作品の候補として挙がっている7本のVFXハイライトシーンを一挙上映、各作品のスーパーバイザーらが壇上に上がり、プレゼンテーションを行った。
観客席では、中央部分が白いロープで覆われ、そこが投票用紙を手にしたアカデミー会員様の専用席として確保されている。
われわれ下々(笑)の非会員は、会員専用エリア以外の席で、このプレゼンテーションを聴講する事が出来る。(但し先着順である)
ノミネート候補となっている作品に参加したクルー、その家族等のいわゆる関係者は、その「先着順席」に座る事になる。
カリフォルニア地方の1月~3月は雨季だ。この夜は大雨にも関わらず、定員1012名の試写室はアカデミー会員と関係者でほぼ満員。熱気あふれるプレゼンテーションとなった。
まずVFXスーパーバイザーが簡単な解説を行い、VFXハイライトシーンを10分程に編集したフィルムが上映され、その後に質疑応答となる。
時間が限られている為、1人あたりのトーク制限時間になると、ステージ上に置かれた赤い裸電球が点灯する。
これが点灯すると「トークを打ち切らなければならない」というルールになっている。
ちなみに、この赤い裸電球は「アカデミー名物」として有名なのだそうだ。
この夜は、約2時間半という長い時間を掛け、
「ハリー・ポッターと謎のプリンス」
「スタートレック」
「ディストリクト9」
「ターミネーター4」
「2012」
「アバター」
「トランスフォーマー: リベンジ」
の順番にVFXプレゼンテーションが行われた。
今年は例年になく大作ばかりで、どれがノミネートされてもおかしくない。この中からノミネート3本を選定するのは至難の業であろう。
アカデミー会員の方は、さぞ頭を悩ませたはずだ。
さて、今回の「ベイクオフ」で、筆者が感じた事が1つある。
フィルム上映が始めると、観客は画面に引き込まれる。我々プロの映像関係者であっても、である。
その度合いは、作品によっても異なるが、その「気持ちが如何に画面に引き込まれたか」が今年のノミネートに繋がる重要なポイントになっているように思えた。
どれも世界トップの作品ばかりで、アート的にも、技術的にも甲乙は付け難い。
しかし、映画の視覚効果として「パート・オブ・ザ・ストーリー」の役割を如何に果たしているか、それはこの日の上映作品郡を観ていて、微妙な違いとしてスクリーンから伝わってきた。
この感覚は初めて味わったもので、筆者にとっては、非常に貴重な経験となった。
さて、VFX部門を含むすべての第82回アカデミー賞ノミネート作品の発表は、2月2日に発表される予定だ。
今からノミネート発表が非常に楽しみである。
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