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第51回グラミー賞授賞式で初めて3D映像を含んだ演出が放映される

1月31日(日)、第51回グラミー賞授賞式が米CBS系列で夜8時(米国西海岸時間)より放送された。

実際の授賞式は夕方からスタートしており、日本ではWOWOWがリアルタイムで生放送したにもかかわらず、我々アメリカ地方の視聴者は、なぜか3時間遅れで観る形になった。

遠く離れた日本が生放送なのに、授賞式が行われているステイプルズ・センターまで車でわずか30分の距離に住んでいる筆者が、3時間遅れでしか観れない!という、なんとも&かんとも不思議な現象が起こった訳だ。

アメリカは不思議な国である(あ・ほ・か)。

…さて、それはまぁさておき、読者のみなさんも既にご存知のように、この日の授賞式ではハイライトとして、マイケル・ジャクソンの「3Dトリビュート」が行われた。

ここでは、セリーヌ・ディオン、アッシャー、ジェニファー・ハドソン、キャリー・アンダーウッド、スモーキー・ロビンソンらがトリビュート・パフォーマンスとしてマイケル・ジャクソンの「アース・ソング」を歌う模様が立体映像を絡めて放送された。

元々ロンドンで予定されていた復帰コンサート「This Is It」の為に制作されたオリジナル3D映像の1部を、ステージ後方のLED(発光ダイオード)スクリーンに映し出し、その前で歌手がパフォーマンスを行うというもの。

しかも、歌手のパフォーマンスに対してもテレビカメラによる3D撮影が一部で採用されていた。これも斬新な試みと言えるだおう。

これらのハイライトは、米アワード関連番組史上初めて、立体映像を絡めた演出による放送だった。

立体映像の部分は、旧来のアナグリフ方式によるもので、視聴者は各家庭で赤青メガネを掛けて鑑賞するスタイル。

番組の公式スポンサーでもある米大手スーパーマーケットTARGETでは、「This Is It」のロゴが入った"番組専用"赤青メガネを、店頭で無料で配布した(写真)。

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グラミー賞終了後、CBSニュースの報道によれば、ロンドンで予定されていた「This Is It」コンサート用のオリジナル3D映像は、イベントやコンサート映像等を専門に手掛けるStimulated, Inc(カリフォルニア州バーバンク)のプロデュースによるものだという。

このプロジェクトはマイケル・ジャクソンやクルーの間では「The Dome Project 」と呼ばれ、90フィートX30フィート(27.4mX9.1m)のLEDスクリーンに立体映像を映し出す計画だった。

観客が3Dメガネを掛けると、LEDスクリーンの映像は立体化し、ステージ上のパフォーマンスと融合、独特の臨場感が生まれるという、「コンサート史上始めて」の試みになる予定だった。

備考:
立体映像を併用したパフォーミング・アーツ自体は90年代から存在しており、ラスベガスで開始されたSIGGRAPH1991でも、サンフランシスコを拠点とし、今も活動する劇団George Coates Performance Worksが、シリコングラフィックスIris4D/210を使用した立体映像と、ステージ上の役者を融合させたパフォーミング・アーツを上演した例がある。

また、米バラエティ紙が昨年11月24日号で伝えた情報によれば、ロンドンでのコンサートで使用される予定だったLEDスクリーンは、Kerner Technologiesが開発した3Dディスプレイ「Kernervision」を使用しており、RealD方式(円偏向)の立体メネを使用して立体視を行う予定だったという。LEDスクリーンが採用された大きな理由は、「コンサート会場においても充分な明るさが得られた」点にあるという。

さて、グラミー賞でのトリビュート・ステージでも、前述のStimulated, Incのプロデュースにより、ステージにLEDスクリーンが設置された。ここではRealDではなく、アナグリフ方式による映像が映し出された。

今回、グラミー賞で旧来のアナグリフ方式が採用されたのは、特別なシステムを必要とせず、どこの家庭でも赤青メガネさえあれば手軽に立体視が可能である事。しかもメガネが赤青セロファンと紙製なので量産コストも安く、大量配布に適しているという、極めて自然な理由からだった。

WOWOWで放映された映像は全く同じなので、赤青メガネさえあれば、立体映像で楽しむ事が出来る。赤青メガネはアマゾン他で安価で販売されているので、日本国内でも簡単に手に入れる事が出来る。番組を録画された方は、是非とも試してみると良いだろう。

マイケル・ジャクソンが亡くなり、ロンドンのO2アリーナで「立体コンサート」が楽しめる機会は永遠に失われてしまったが、このテクノロジーは何らかの形で受け継がれ、そして更に発展し、近い将来、パフォーミング・アーツの中で実際に登場する日もそう遠くはないだろう。

改めて、偉大なるアーティスト、マイケル・ジャクソンに合掌。


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