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リズム&ヒューズ スタジオは5月14日、過去10年余りを過ごたプラヤ・デルレイの社屋に別れを告げ、ロサンゼルス国際空港のすぐ南側にあるエルセグンド市に新社屋を購入、自社ビルへの全社的な移転を完了させた。
エルセグンド市には日本航空、タイ航空、そしてボーイング等に代表される航空&軍事関係の企業が多いエリアで、その意味では映画関連企業の進出は珍しい存在でもある。
新しい自社ビルはガラス貼りの6階経て。1Fにはカフェテリアもある。また、別棟には映画館並みの最新設備の試写室(うち1つはRealDによる立体対応)を2つ備え、デジタル上映&フィルム上映のどちらにも対応しているという。
ハリウッドの大手VFXスタジオで自社ビルを持つスタジオは殆どなく、堅実経営で知られるリズム&ヒューズらしいニュースと言えるだろう。
リズム&ヒュースは、CGの先駆スタジオとして有名なロバート・エイブル・アソシエーツ出身者が中心となり1987年に設立された、ハリウッドの大手VFXスタジオの中でも老舗だ。
設立当初は、ハリウッドにあるシカモア通りにスタジオを構えていた。
画像:リズム&ヒューズの最初の社屋。1990年頃、筆者撮影。
95年にマリナ・デルレイに程近い、現在プラヤ・ビスタと呼ばれるエリアにスタジオを移転、ここでアカデミー賞のVFX部門でオスカーを受賞した映画「ベイブ」等のVFXが制作された。
画像:2010年、筆者撮影。
そして、2010年に自社ビルを購入、今回の移転へと繋がった訳だが、設立当初から社の方針として掲げている「社員に過ごし易い環境を提供する」というスローガンは現在も変わっていないという。
ちなみに、ハリウッドのVFX業界で、他社に先駆けて残業手当てを支給し始めたのも、リズム&ヒューズなのだそうだ。
社長のジョン・ヒューズ氏は特別扱いを嫌い、振る舞いも服装も大変質素。いつもR&Hのロゴが入ったパーカーを着て出勤し、車も役員用駐車場ではなく、少し離れた場所にある社員用の「早いもの勝ち駐車場」へ停めて、そこから徒歩でテクテク歩いてくるという、「社長らしくない社長」として業界ではおなじみだ。
そんなヒューズ社長のお人柄が、このようなアットホームな環境に反映されているのかもしれない。
また、社員は飼い犬を連れてきても良い事になっており、社内のあちこちで尻尾をフリフリする光景が見られるのもユニークな点だろう。
(ちなみに、ワンちゃんにも「入社試験」があり、吼えない、咬まないなど、一定のしつけがされてされている事が条件。これをパスして、初めて「出勤」出来るとか)
画像:リズム&ヒューズの、犬と飼い主用エレベーター。犬アレルギーの体質の社員もいる為、3機あるエレベーターのうち1機だけが「お犬様用」として指定してあるそうだ。
車社会のLAにしては珍しく、近隣にメトロ(電車)の駅もあり、メトロで通勤してくる人もいるとか。
画像:メトロは4両編成。のどかな光景だ。
このように、リズム&ヒューズのクルー達は、新しい職場を大変気に入っているという。
現在、様々なプロジェクトの受注に成功し、来年まで継続して忙しい日が続くというリズム&ヒューズ。同社の今後の動向がますます気になるところである。
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