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リズム・アンド・ヒューズのロサンゼルス本社
リズム・アンド・ヒューズのロサンゼルス本社

■200人規模の雇用を計画 人材育成・トレーニングも実施

 この程、ハリウッドの大手VFXスタジオ、リズム&ヒューズ(本社:ロサンゼルス、以降R&Hと表記)は、台湾の高雄市(たかおし/カオシュ ン)に新たにVFXスタジオを新設する事を正式に発表した。高雄市は台湾南部に位置するが、R&Hはこの地に新しいVFXセンター(VFX Center)を設立する予定。VFXセンターでは、約200人規模の台湾人デジタル・アーティストの雇用が見込まれ、R&H主導による人材育 成&トレーニングも行われ、ここでハリウッド映画のVFX制作を行う予定だという。

 新スタジオは、台湾最大の電気通信企業である中華電信股份有限公司(Chunghwa Telecom)と、同じく台湾のパソコンメーカー大手の広達電脳(Quanta Computers)、そしてR&Hという3社のパートナーシップによって運営される。

 3社は、昨年の暮れが押し迫った30日に台北で、また翌31日には高雄市という合計2箇所で調印セレモニーを開催。これは、台湾において最初のステップを踏み出すオフィシャルな場となった。


■ハリウッドのメジャー映画への投資ファンドも設立へ

 また、R&HとMOEA(台湾対外経済局)は共同で、ハリウッドのメジャー映画作品に対する投資を行う為の「East Grand Films」と呼ばれる映画投資ファンドを設立。

 同ファンドは、R&Hとハリウッド映画業界が持つ太いパイプをフルに活用し、VFXをふんだんに使った映画作品への投資を行う事により、台湾の投資家へのプロフィット・シェアリングを目指す。


■カナダ、インド、マレーシアに次ぐ海外拠点設立で1300人の大所帯に

 R&Hは現在、ロサンゼルス国際空港のすぐ南隣にあるエルセグンドに本社と制作拠点を構えており、アメリカ国外にはカナダのバンクーバー、イン ドのムンバイとハイデラバード、そしてマレーシアのクアラルンプールなど4箇所の海外拠点を持ち、全クルーは1300人にも及ぶ。

 世界各地に制作拠点を持つ事により、ワールドワイドのプロダクション・パイプラインによって文字通り「24時間稼働」の制作体制が既に実現している。ここに台湾スタジオが新たに加わる形となる。

 台湾スタジオには、VFX及びアニメーションのプロダクション・サービスに特価した、クラウド・コンピューティングを駆使した次世代のプロダクション施 設を構築する構えだという。このクラウト・ベースのソリューションによって、新しいプロダクション施設は「グローバル化に対応した次世代プロダクション・ パイプライン」の実現を図る。


■グローバル化を進めるハリウッドVFXスタジオ各社 各国の優遇策を活用


 過去数年、ハリウッドでは大手VFXスタジオによるグローバル化の波が押し寄せ、筆者がこれまでにレポートしたようにデジタル・ドメイン等が海外に多くの拠点を構えているが、R&Hは早い時期からインドにスタジオを構えており、グローバル化の先駆けと言える。

 さて、このグローバル化に「不可欠」なのが、各国が推進している様々な優遇策だ。カナダのバンクバーにしても、オーストラリアにしても、ロンドンにしても、各国政府からハリウッドへ「ラブコール」があり、グローバル化が進んで来たのだ。


R&Hの台湾スタジオも例外ではなく、この背景にはデジタルコンテンツ業界への投資に積極的な取り組みを見せる台湾政府の姿勢がある。また R&Hが現在21世紀フォックスから受注しVFX作業の真っ只中にある映画「LIFE OF PI」(今年12月全米公開予定)のアン・リー監督の推薦による後押しも大きい。

 R&Hフィルム部門代表のリー・バーガー氏は、「アン・リー監督のご推薦によって、我々は未来のビジョンを、監督と台湾政府と共にシェアする形 となりました。監督はMOEAに対する門戸を開いて下さり、台湾政府には類を見ない優遇措置を提供して頂きました。」と述べた。

 またR&H設立者&社長のジョン・ヒューズ氏は、「台湾政府とこのような素晴らしい計画を進められる事はこの上ない慶びです。末長く、良い関係を築いていきたいと願っています。」と付け加えている。


 このように、ハリウッドのVFX業界で急速に進むグローバル化だが、残念な事に、その矛先に日本は依然として含まれていない。日本政府からハリウッドにオファーがあるのは、いつの日になる事だろうか。


 



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