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映像ジャーナリスト 鍋 潤太郎の随筆による、ハリウッドVFX情報をいち早くお届けします。

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 既に本欄でもレポートしたように「Star Wars: Episode II」が5月16日より、
 全米および世界36ケ国で一斉に公開となった。全米での興行成績は好調で、
 7月頭の段階で$291million(約343億円に相当)を売り上げる等の大ヒット
 となった。

 デジタル・ビジュアルエフェクツは質・量共に、前作を完全に凌ぐ完成度
 で、ファンを喜ばせた。また、ハリウッドの映像業界の間でも評価は非常
 に高い。

 さて、このEpisode IIは、パナビジョンの映画用レンズを装着した、ソ
 ニーのデジタルHDカメラ(映画フィルムと同じ24コマ再生仕様)による
 世界初の「フルデジタル撮影」が行われた事も話題である。
 

 通常、フィルム撮影からデジタル・ポスト・プロダクションに素材
 を持っていく場合、オプチカル・プリンターによってオリジナル・ネガ
 から中間ネガを作成し、それをフィルム・スキャナでスキャンし、高画
 質のデジタル画像へと変換する。

 しかし、これを撮影の段階からデジタルHDカメラで撮影する事によって、
 デジタル⇒デジタルでの素材の受け渡しが可能となる。

 オプチカル・プリンターによる光学プロセスがない分、画質の劣化が全
 く無く、画面が鮮明になる利点がある。

 また、DLP※でのデジタル上映時は、フィルム上映独特のキズ、ホコリ、
 カクり、パンチマーク等がない為、非常に安定した美しい映像が楽しめ
 る事も魅力の1つ。
 
 唯一の弱点は、現行のDLPの上映解像度がSXGA(1280x1024)である為、
 大スクリーンの映画館で、特に前方の席で鑑賞すると、ピクセルが見えて
 しまうという課題はまだ残されている。ただ、近い将来、解像度が飛躍的
 に向上する事は確実で、このDLPによる上映方式は今後が期待されている。

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※DLP(Digital Light Processing)Texas Instruments社のサイト
www.dlp.com
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 ルーカス監督は、Episode Iの公開時(99年6月)に「Episode IIの上映は
 衛星デジタル回線で世界同時上映したい」というプランを打ち出していた。

 現実は、一般劇場への衛星デジタル回線こそ実現していないものの、Episode
  IIのDLP上映館は、ロサンゼルス近郊だけでもハリウッドのチャイニーズ・シ
 アターを始めとする、全8館で行われている。全世界でのDLP上映はなんと97
 スクリーンにも及ぶ。

 99年当時のEpisode I上映では、DLP上映館はわずかLA2箇所、NY2箇所の
 計4箇所だった事から鑑みると、この3年間での伸び率はまずまずと言って
 もよいかもしれない。

 日本での公開はもう間もなく、7月13日が予定されており、DLP上映も10館が
 予定されている※ので、請うご期待。

※日本のDLPによるデジタル上映館リスト---------------------------
109 Cinemas in Takasaki / Gunma
T-Joy Higashi-Hiroshima / Hiroshima
T-Joy Nerima / Nerima
T-Joy Niigata Bandai / Niigata
Toho Kitano Theatre / Osaka
Toho Umeda Scala-za  / Osaka
AMC Ikspiari 16 at Tokyo Disneyland / Tokyo
Nichigeki Plaza Theatre / Tokyo
T-Joy Oizumi / Tokyo
Toho Hibiya Scala-za  / Tokyo
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