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映像ジャーナリスト 鍋 潤太郎の随筆による、ハリウッドVFX情報をいち早くお届けします。

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1982年に公開された「トロン」(ディズニー)は、ビデオやDVDでご覧になられた方も多い事と思う。

そんな「トロン」が、5月6日(木)より16日まで、ハリウッドにあるディズニー直営映画館「El Capitain Theater」において、公開当時と同じく70mmプリント、6チャンネルのドルビー・サウンドで10日間の限定リバイバル上映が行われている。

当時、2年もの歳月をかけ、

・世界で初めてCGをセル・アニメーションに合成

・製作は8時間交代の24時間体制

・600,000枚もの白黒セルを4台の65MMアニメーション・カメラで
 コマ撮り

・セルの作業は85%近くを台湾に発注、撮影しながら合成したので
  失敗すると1からやり直し。

・バイクのシーンは17回も撮影しなければならなかった。

・使用したコンピューターは今の携帯電話以下の性能で価格は6億円

そんな破天荒なプロダクションの末にようやく完成したアニメーション大作だったが、評論家は酷評、興行成績も思わしくなく、ビジネスとしては大失敗に終わった。

しかし、そのビジュアルのインパクトはすさまじく、非常に多くの映像アーティストや、その後の映像&映画作品に多大な影響を与えた事はご存知のとおり。

同劇場では、撮影で使用されたオリジナルのコスチュームや、映画公開当時のキャラクター商品の展示に加え、地下ホールでは「トロン」のビデオ・ゲームが体感出来るコーナーも設けられている。

また、公開初日には元製作スタッフによるパネル・ディスカッションも開催されたようだ。

正にファンにとっては垂涎もののリバイバル上映と言える。

筆者も、さっそくEl Capitan Thearerに足を運んでみた。映画が映画だけに、一般の客層とはやや異なる(笑)コアなファンやマニアっぽい観客ばかり。

公開当時にも酷評された問題のストーリーはさておき、アニメーションの完成度の高さは今観ても新鮮だ。カメラアングルやタイミングも洗練されており、よくコマ撮りと多重合成だけでここまで実現
したと関心する事しかりである。

また実写のラボのシーンで、80年代のドでかいコンピューターが何度か画面に登場するが、その都度場内からは笑いが起こっていた。

最後のエンドクレジットでは、CG史上で著名な人物や、今は存在しないが当時最先端のCG会社(マジャイ、トリプル・アイ、デジタル・エフェクツの各社)等のクレジットが出ると、手を叩いて喜んでいる人もいた。ベテラン格のCG業界関係者だろう(笑)

El Capitain Theaterはハリウッドのド真ん中にあり、82年当時の公開が行われたハリウッドのチャイニーズ・シアター(Chiinese Theater)のほぼ正面に位置する。上映は16日まで。

 


 

 


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