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映像ジャーナリスト 鍋 潤太郎の随筆による、ハリウッドVFX情報をいち早くお届けします。

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○必見!! "SF好きの少年"と"心優しい巨大ロボット"の心暖まる物語
「The Iron Giant」  - Warner Bros. Animation (09/14/1999)

  地味に宣伝され、地味に公開されたものの、その素晴らしい完成度にハリウッドの映像関係者が絶賛した話題作 -「The Iron Giant」。

  原作は、イギリスの桂冠詩人Ted Hughesが1968年に発表した"Iron Man"。人気TVアニメシリーズ「シンプソンズ」を手掛けたBrad Birdが監督し、8月4日から全米2179館で公開された、長編アニメーション作品である。

  東西対決の「冷戦」初期の1958年。アメリカの静かな街Rockwellで母親と2人で暮らしている少年、ホガート。母子家庭で育った寂しがり屋の彼は、いつも友人を探していた。そんなある日、彼は宇宙から落ちてきた、身長50フィートの巨大ロボットと遭遇する。心優しいロボットと友達になったホガートだが、彼らには恐ろしい運命が待ち受けていた…というストーリー。

  この作品は、最近のメジャーな長編アニメーション映画の平均製作期間の「約半分」に相当する、たった2年間という短い期間で製作され、ディズニーやドリームワークスと言った有名アニメーションスタジオの平均製作予算の、これまた「約半分」の、$48millionで製作されるという、限られた条件の中で完成された。

  しかも、製作のワーナー・ブラザーズが宣伝にあまり力を注がなかった事が災いし、公開最初の週末の売り上げがたったの$5million、9月5日の段階での興行収入がたったの$20.73millionと、興行的には全く振るわなかったのである。

  しかし、映画を観た業界関係者やアニメータ達は、映画としての完成度の高さに一様に驚いた。「この映画は本来売り上げNO.1になるべき作品だ。みんな劇場に行って売り上 げに貢献しよう!」と言った電子メールが業界を駆け巡る等、異例の盛り上がりを見せ、 話題を呼んだ作品である。

この作品では、3DCGが多用されているが、「3DCGと2Dのアニメを如何に馴染ませるか」が製作上の大きなポイントとなっている。巨大ロボットの表現にはMAYAを採用、複雑なアニメーションを実現し、アニメセル調のレンダリングによって、2Dの背景と馴染ませている。

2Dの背景及びエフェクトは、 Elastic Reality, After Effects, Photoshop, Animo, Bryce 3D等の一連のアプリケーションを、効果的に駆使する事によって完成度をより高め、逆に3DCGの巨大ロボットへと「質感の歩み寄り」を試みた。

このように、3Dと2Dの相互の歩み寄りによるデジタル・テクノロジーの融合が、完成度の高い映像へと結びついているのである。

筆者は2回、劇場に足を運んだ。感動的なエンディングでは泣いている人も沢山おり、大人の鑑賞にも充分耐えうる、完成度の高い作品である事を証明していた。

気になる日本での公開時期だが、筆者が電話で問い合わせたところ、

「今のところ、日本での公開の予定は全くナシ。ひょっとしたら、来年あたりか…でも、正確な所は、この年末まで保留となっており、現段階ではなんとも。」

という非常に残念なコメント。

このような素晴らしい作品を、読者の皆さんに観て頂けないのは非常に残念である。是非、1人でも多くの方に観て欲しいと願う、今日この頃である。

参照サイト: www.irongiant.com


↓ハリウッドの映像業界で流れた電子メールより↓

I don't mean to sound preachy but I'm trying to encourage folks to go and see"The Iron Giant". The rumor over at WB is that if this movie doesn't do well (its doing horrible in the box office) it will be pulled from theatres this weekend!

I'm urging you to see this film. It is a WONDERFUL and STRONG story that is BEAUTIFULLY executed.

No, its not Disney. But the results of this film, and all animated films, as you all know effect this entire industry. If this film does not get the recognition it very much deserves, animation costs could be cut resulting in clean-up animation to be sent overseas further resulting in a lesser quality of work and loss of jobs across the board.

Please support your industry. If you have seen the film, I believe you know what I am talking about as I have not heard anything negative about it. Take your kids, take your partners, take your grandparents, there is something in it for everyone!

Okay, I'm climbing down from the soapbox now. thank you
   

 


 

 
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