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この7月、米ウォルト・ディズニー・カンパニー(以下ディズニー)が米シネフェックス誌(CineFex)や、映像フェスティバルのプログラム等の広告で発表したところによれば、同社の長編アニメーション製作部門であるWalt Disney Feature Animation (WDFA) は、この程、社名が変更され、新しい社名がアナウンスされた。
新しい社名はWalt Disney Animation Studios。
"Feature"とは劇場用映画の意だが、それが削除され、Animation Studiosというよりシンプルな社名に変更された形だ。
この社名変更の背景には、2006年1月にさかのぼる、ディズニーによるピクサー・アニメーション・スタジオの買収後の大規模なスタジオ内部改革があると見られている。
買収直後、WDFA内で2008年の公開をめざし製作準備が進められていたフルCG長編映画「Toy Story3」の製作が中止になった他、このプロジェクトで採用されたスタッフ達が大量にレイオフされた出来事が記憶に新しい。
ハリウッドの業界の中では、今回の社名変更について「ディズニーは2D作品も含めた、より原点に帰ったスタジオ運営を模索しているのだろう」と見る向きもある。
もともと、故ウォルト・ディズニーが長編アニメーションの製作をスタートしたのは1934年。
当時の社名はWalt Disney Productionsだった。
そして1938年2月には世界初のアニメーション劇場長編「白雪姫」が公開され大ヒット。
1966年のディズニー氏の死去後、低迷期を乗り越えスタジオは新たな方向性を確立、それから数々の名作が誕生し、WDFAとなる。
WDFAは1999年の段階で、フロリダのオーランド、フランスのパリ、そして本拠地ロサンゼルスのバーバンクの3箇所に長編アニメーション・スタジオを有し、従業員数2400名以上というマンモス級アニメーション・スタジオへと成長した。
しかし、これと前後して3DCGのテクノロジーの進化により製作手法が変化。86年にピクサー・アニメーション・スタジオが「トイ・ストーリー」で大成功を収め、この頃から序所に劇場用長編アニメーションにも3DCG化の波が押し寄せる。
WDFAは2000年を皮ぎりに大規模なスタジオ縮小とレイオフを開始。オーランドのスタジオは2003年に、パリのスタジオも2004年に閉鎖された。
そして、2004年の「ホーム・オン・ザ・レンジ(Home on the Range)」 (2004年)を最後に2Dの手法による劇場用長編アニメーション製作に終止符を打ち、とうとう2005年には同社初のフルCGの長編「チキン・リトル」を公開。
2006年1月にはピクサーを買収したが、この後から「3DCGの長編はピクサーへ」という動きがスタジオ内で始める。
今年5月に全米公開された「ルイスと未来泥棒(Meet the Robinsons)」(日本では年末公開予定)はフルCGの立体映画だが、この作品が完成した段階で、担当スタッフは、次作「American Dog」に配属されるアーティスト以外、ほぼ全員がレイオフされてしまった。
また、この作品から、映画の冒頭に登場する会社のロゴ・アニメーションからWDFAの社名が使われなくなったのも印象的だ。
業界関係者の話では、実際のところ、この頃から徐々にWalt Disney Animation Studiosの社名が使われ始めていたそうだ。それが、この7月、新社名が「正式」にアナウンスされたという形になる。
今回の社名変更は、今後は長編だけではなく、短編の製作も視野に入れ、そして伝統的な2Dのトラディショナル・アニメーションも視野にいれ、原点回帰しようとするねらいがあるようだ。
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