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映像ジャーナリスト 鍋 潤太郎の随筆による、ハリウッドVFX情報をいち早くお届けします。

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著者注:今思えば、これが映画「WALL E」へと繋がった訳ですが、それが未知だった2006年当時は、ちょっとしたスクープでした。

信頼出来る消息筋によると、長年ILMでVFXスーパーバイザとして君臨してきたデニス・ミューレン氏が、ILMの専属社員という立場を"卒業"し、この程ピクサーと契約した模様だ。

この情報について、ILMもピクサーも、現時点ではオフィシャルなコメントこそ発表していないものの、サンフランシスコを中心とするベイエリアのCG及びエフェクト業界、そして特にILM社内では「もはや周知の既成事実」として受け止められている。

複数のILM社員の話によると、デニス・ミューレン氏は、今でも週に1日だけパート・タイムという形でILMに立ち寄っており、残りの時間は自宅での随筆作業や、ピクサーにて過ごしているという。

実写のVFX専門家であるデニス・ミューレン氏が、CGアニメーション専門のスタジオであるピクサーと契約すると言うのはやや畑違いの感もあるが、これについてILM関係者は「長年VFX業界で過ごし、VFXという分野を突き詰めて来たデニスにとって、そのキャリアの頂点は充分に極めてしまったいう事もあり、彼にとって何か"新しい分野"に挑戦しようとしているようだ」と語っていた。

ILMでは最近、マーク・ミラー氏、クリフ・プルマー氏、キム・リブレーリ氏という3人のトップ・シニア・エグゼクティブがデジタル・ドメインへと移籍したばかりで、社内マネージメント体制が大きく変革しつつある渦中にある。例え週に1日とは言え、デニス・ミューレン氏との関係を残す事で、対外的な対面を保ったとする見方も強い。

このデニス・ミューレン氏とピクサーという新しい出会いが、今後どのような形で映像作品として現れてくるのか、注目されるところだろう。


デニス・ミューレン氏:

ミューレン氏は1975年に「Star Wars」でそのキャリアをスタートさせ、その直後にILMがロサンゼルスからサンフランシスコに移った後も30年間近く在籍、VFXスーパーバイザーとして多忙な日々を送っていた。氏は8回のアカデミー賞 視覚効果部門での受賞、そして9回の化学&技術賞など、「最も実績のあるVFXアーティスト」として君臨してきた。手掛けた作品も「帝国の逆襲」「ジェダイの復讐」「ET」「インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」「インナースペース」「アビス」「ターミネーター2」「ジュラシック・パーク」他、最近では「宇宙戦争」等がある。VFX界をリードする作品ばかりだ。

最近、ミューレン氏が1970年に学生映画として製作した「Equinox」がDVDリリースされ、マニア層を喜ばせた。また、99年に氏は、ハリウッド大通の歩道上にあるStar on the Hollywood Walk of Fame(名前が刻まれた星型のプレート)にも、VFXアーティストとして初めてその名を刻む等、多大な実績を残している。

また、来年2月11日にハリウッドで開催予定のVES Awards授賞式[ビジュアル・エフェクツ・ソサエティ(全米視覚効果協会)主催]において、生涯功労賞(Lifetime Achievement)がミューレン氏に贈られる事が既にアナウンスされている。
 


 
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