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映像ジャーナリスト 鍋 潤太郎の随筆による、ハリウッドVFX情報をいち早くお届けします。

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日本は給料日直後ですねぇ(笑) 僕の方は給料日直前(ウチは末日支給)なのでピ~ピ~な上に、飲み会に行かなければなかったりして、楽しい毎日を送っております。(なんだそれ)

更に、車は燃えるわ、山一は潰れるわ(オレの全財産がここに....)、非常にエキサイティングな日々が続いています。

その一方で、今日も楽しい、平和なロサンゼルスです。
秋後半の映画が目白押しで、感謝祭・クリスマスの映画シーズンへの突入も目前。

まさしく芸術の秋ですな。(もう、冬だっつーの)

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さて、アメリカ地方は明日から2日間、感謝祭の連休に突入します。
昨日お休みした事もあるので、今日は臨時でお届けしましょう。

○Anastasia

本欄でも何度か紹介した、20th Century Fox初の、長編アニメーション作品。メインのスタッフ、特にプロデューサーレべルはディズニー出身者が多いようです。

プロデューサー兼ディレクターのDon Bluth はディズニーで『眠りの森の美女』等に参加してきたベテランだし、おなじポストのGary Goldmanも70年代からディズニーで活躍してきた人です。

エグゼクティ・プロデューサのMaureen Donleyは、ディズニーで『美女と野獣』や『アラジン』等でプロデューサを務めていた人です。

この為か、FOX の作品ながら、ディズニー色の強い作品に仕上がっています。

パッと見は、最近のディズニー作品と殆んど同じです(笑)

うちの会社のマリさんによると、テレビのニュースでこの映画が紹介された時、キャスターが間違えて『ディズニーの…』と言ってしまったそうです。それ程、ディズニー色が強いという事ですね。

間違えられてもムリはない、という気もします。
関係者はムッとしたかもしれませんが(笑)

で、この"Anastasia" ですが、よく出来た作品だと思いました。

お城のプリンセスが悪魔の胴乱に巻き込まれ、逃げる最中にクイーンとはぐれてしまい、その後普通の女の子として楽しく生活してたら、再び悪魔の手が伸びてさぁ大変、というお話です。

実写の役者の演技をトレースする方法を採っており、キャラクターの演技が異様にリアルです。これは、昔のディズニーが採用していたスタイルです。その為、動きが素晴らしかったですね。

ストーリーよし。音楽よし。絵よし。作品として大変すばらしかったです。最近観た長編アニメの中では、一番スッキリしていると思いました。

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この作品では、2D/3D ともデジタル処理が多用されています。

この詳細はSOFTIMAGE3Dのホームページで紹介されていますが、同社のデジタル2DアニメのソフトToons によるデジタル・セル・アニメーションが多用されています。
おそらく、ですが、この作品も最近のディズニーと同様、アニメセルを1枚も使わず、全てデジタル(この作品ではToons )でやったものと思われます。

3次元CGを使ったシーンも出てきます。城の内部、馬車、機関車、車等がおなじみSOFTIMAGE3DとMentalRay の組合わせで表現されています。
これ以外にも、SOFTIMAGE3DのParticle等も多用されています。3次元のシーンはプロの立場から見ると、若干の難点やSOFTIMAGE3D独特の弱点等が多少、見受けられました。

あとは、大判の背景画の寄りのシーンで、手書きの背景画の荒らさが少し気になった位かな。
まあしかし、これらは一般の方には殆んどわからない範囲でしょう。

また、映画の完成度自体が高い為、これらの弱点をそれほど気にしないで観る事が出来ました。

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先週末に"Anastasia" を観た時、『こりゃ、間違いなく売り上げ1位だな』と思ったのですが、意外な事にボックスオフィスの売り上げでは2位。

1位はアクション映画、"`Mortal Kombat"でした。

(1) Mortal Kombat $17.5million
(2) Anastasia $15.0million
(3) The Rainmaer$11.0million
(4) The Jackal$ 9.0million
(5) The Little Mermaid$ 5.8million (92年からの合計は$102million)

今回"Anastasia"が1位になれなかったのは、

・男の子(&その同伴者)は"Mortal Kombat"へ
・女の子(&その同伴者)は"The Little Mermaid"へ
それぞれ流れた為ではないか、と憶測されているそうです。

かと言って1週間延ばし、感謝祭の連休からの公開とすると、今度は『エイリアン4』(今夜から公開)とのかち合いになってしまいますし。

映画の売り上げは公開時期や、競合作品等によって大きく変化するのでマーケティングも難しいですね。僕は、"Anastasia" は評判等から、明日からの連休に売り上げが伸びるのではないかと思っています。


 
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