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映像ジャーナリスト 鍋 潤太郎の随筆による、ハリウッドVFX情報をいち早くお届けします。

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著者注:2006年当時の記事です。以降「Toy Story3」は仕切り直し、2008年現在、ピクサーにて2010年の公開をめざし、制作が進められています。

筆者が映像新聞2006年1月30日号でもお伝えしたように、米ウォルト・ディズニー・カンパニー(以下ディズニー)はサンフランシスコのピクサー・アニメーション・スタジオの買収を1月24日に発表したが、そのあおりを受け、ディズニー・フィーチャー・アニメーション内で製作準備が進められていたフルCG長編映画「Toy Story3」の製作が、一旦白紙の状態に戻される事になった。

ディズニー・フィーチャー・アニメーションでは、昨年から2008年の公開をめざして「Toy Story3」の製作準備を進めており、大規模な人材募集活動も行われていた。

この作品では、"Made In Taiwan(台湾製)"のバズが、リコールによって台湾に返品される事になり、ウッディーをリーダーとするオモチャ達が、バズを救う為に大奮闘する……というストーリーになるはずであった。

この作品は元々、ディズニーとピクサーとのフルCG映画配給における契約終了に基き、ディズニー側が「ピクサー抜き」で単独製作する方向で製作準備が進められてきた。

しかし、今回のディズニーによるピクサー買収が発表された翌日の25日水曜日、ジョン・ラセター氏とエド・キャトマル氏がバーバンクにあるディズニー・フィーチャー・アニメーションのスタジオを訪れ「『Toy Story3』のプロダクションを白紙に戻す」という発表が全スタッフに対して伝えられた。

既に「Toy Story3」の為に多くのスタッフが雇用されており、中には23日の月曜日から働き始めたばかりの人もいる。契約書の関係もある為、担当スタッフ達の今後の処遇はまだ未定というが、現時点では幸い、レイオフや解雇の実施等の事態には発展しておらず、大きな混乱はないという。

筆者の友人であるスタッフの1人は「こういう事が起りうるので、この業界は生きて行くのが大変だ。働いている人たちがどうなるのかはまだ決まっていない。しかし個人的には、新しい組織がディズニーをどう引っ張っていくか楽しみだ。優れたクリエータがトップに立つのは、働いている社員達に取って良いことだと思う」というポジティブな意見を述べていた。

ハリウッドの業界関係者を仰天させた、ディズニーによるピクサーの買収ニュースだが、このような思わぬ余波を引き起こしているのである。

先の買収劇はアメリカでも当然ながらトップ・ニュースとして扱われた為、ハリウッドのお膝元、地元ロサンゼルスでも話題を呼んだ。先日、近所のスーパーマーケットでレジの列に並んでいると、顔なじみのレジ係が「大変なニュースだね。君の友達とか知り合いは大丈夫かい?」と心配してくれる有様だ。

今度も目が離せない動向と言えるだろう。


 


 


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書かれたものを再編し、ご紹介しています。

著者に無断での転載、引用は固くご遠慮下さいますよう、
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(C)1998-2009 All rights reserved  鍋 潤太郎

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著者注:2006年当時の記事です。以降「Toy Story3」は仕切り直し、2008年現在、ピクサーにて2010年の公開をめざし、制作が進められています。

筆者が映像新聞2006年2月20日号でもお伝えしたように、米ウォルト・ディズニー・カンパニー(以下ディズニー)はサンフランシスコのピクサー・アニメーション・スタジオの買収を1月24日に発表、ディズニー・フィーチャー・アニメーション内で製作準備が進められていたフルCG長編映画「Toy Story3」の製作が、一旦白紙の状態に戻されたが、このプロジェクトで採用されたスタッフ達の一部レイオフが始まってる。

元々、ディズニー・フィーチャー・アニメーションでは、昨年から2008年の公開をめざして「Toy Story3」の製作準備を進めており、国際的な規模で人材募集活動を展開してきた。

しかし、今年1月のピクサーの買収。「社外から見ると、ピクサーがディズニーに完全に吸収されたように見えますが、実際はそうではなく、ピクサーの立場や権限は非常に大きく尊重される形となっています」とCGアニメーターの1人は語る。

制作現場の最高責任者に就任したジョン・ラセター氏は、スタジオ内で企画中&進行中の多くの作品にも、大きな影響力を持つ存在となった。「Toy Story3」の中止もその一環だ。ピクサー抜きで製作が進められる事になっていた同プロジェクトの中止は、その意味では自然な流れと言えるだろう。

今回実施されるレイオフは小規模で、数は数十人程度だという。また、実際に解雇されるまでには2ケ月の猶予が与えられている(アメリカでは通常2週間前告知が一般的)との事で、「かなり配慮の行き届いたレイオフ」との事だ。

しかし、それでも現実は厳しい。レイオフ対象者の中には、イギリスで自宅を売って渡米してきたベテラン・スタッフもおり、これからどうするか考えあぐねているという。

幸い多くの「元TY3」スタッフは、他のプロジェクトにアサインされ現在も仕事を続けているが、運悪くレイオフになってしまった人は、今月末をメドに退職を迫られる事になる。

世界のエンターテイメントの中心ハリウッドと言えども、夢のような話ばかりではない、という厳しい現実を見せつけられたように思う出来事である。


 


 


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