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映像ジャーナリスト 鍋 潤太郎の随筆による、ハリウッドVFX情報をいち早くお届けします。

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〇VES2001

 VES2001は、ハリウッドのビジュアルエフェクツ・ソサエティとい
 う協会のイベントで、毎年1回開催されています。

 2年程前から、始まったようです。

 3日間に渡り、いろんなセミナーが開催されるのですが、その中で
 も今年の目玉の1つは、「パ~ル・ハ~バ~」の特撮メーキング講
 演でした。

 では、その内容を、さっくりとご紹介しましょう。

 レポート部分は文体が変りますが、品質に影響はございません。

                                (あ・ほ・か)

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 「パール・ハーバー」メーキング講演

  パネラー:
  Eric Brevig: ILM Visual Effects Supervisor
  Ben Snow : Associate VFX Supervisor

〇プロダクション初期

 この作品の脚本は、99年後半にILMに届いた。

 我々の仕事は、ゼロ戦による真珠湾攻撃のシーンをリアルに再現
 する事だった。

 まずは、CGのアニマティックを作成し、皆で通して見てみた。

   「………ど~やって、やんのよ? こんなの」

 難しそうだ。

 空を飛べる現存のゼロ戦は、こんなに膨大な数はないし、残って
 る戦艦もそんなないし、肝心のアリゾナ号は真珠湾に沈んだまま
 だし。

  (戦艦アリゾナ号は、大爆発で一瞬にして沈んだ為、現在も
  1177人の乗組員が艦内に閉じ込められたまま、海面スレスレ
  に沈んだ状態で保存されている。上には記念館が建っている。
  ホノルルを訪問した際は、是非訪問してみて欲しい場所だ)

〇テスト撮影

 まずは、海の上で、実際に戦艦のスケールモデルを浮かべてみて、
 約3000ガロンのガソリンとダイナマイトを爆発させて、爆発のシ
 ーンのテスト撮影。

 また、水中で爆薬を炸裂させた場合、水圧によって近くの生物は
 圧死してしまうので、その限界を調べる為に、スタントマンを海
 に漬けて、近くで爆薬を炸裂させて、どの位の距離までは大丈夫
 か?を調べた。

 爆発させて、「あ、ヤツはまだ生きているからこの距離はまだ平
 気」という感じで。(爆笑)

  (プロのスタントマンは、体の痛みの度合いで、どの位の衝撃
   まで骨が耐えられるかを、自分の体で判断出来るらしい)

 ゼロ戦が魚雷を投下するシーンのテスト撮影もやったが、魚雷は
 やっぱ、作りモンだと軽くて、投下した際に海面で跳ね返ってし
 まい、うまくいかなかった。なので、CGで作る事に。

 (魚雷が海面で跳ねかえって、ポテポテ転がっている映像が流れる)

 他にも問題は山積み。

 なにしろ、リアルに作らないと観客はすぐに興ざめしてしまう。
 また、戦艦は複雑なので、作るのが大変な事はすぐに予測できた。

〇CGによるテスト

 そこで、CG戦艦を作って、いろいろテストした。

 また、ゼロ戦も、CGで作ってテストをしてみた。

 ゼロ戦は、爆発した際に上手くリアルに壊れるよう、本物と同じ
 ようなパーツ構成にしてモデリング。

 幸い、"Star Wars Episode 1"の時のポッド・レースのクラッシュ
 ・シーンで溜め込んだノウハウにより、墜落や爆破によるゼロ戦
 や米国側の戦闘機の破壊をMayaのダイナミクス機能を使ってテスト
 を繰り返した。

 ライティングにはラジオ・シティも採用した。

 ライティングの見本には、灰色のプラ製の球を撮影現場に持って
 いき、その見え具合をCGのライティングの参考にする。

 また、「イメージペースド・ライティング」の技法を用いる為に
 現地で金属の球を置いて、周りの物が映りこんだ状態を撮影し、
 そこから素材を起したりして、リアリズムにも気を配った。

 この技法を用いる為、アメリカ側の戦闘機は、本物を横から撮影
 して(照明を変えて何バージョンも撮った)、そこからテクスチ
 ャを起したりもした。

〇アリゾナ号の爆発シーン(フルCG)

 有名なアリゾナ号の大爆発のシーンは、Mayaのダイナミクスのシ
 ュミレーションによるテストを、何度も何度も繰り返した。

 ゼロ戦から投下された爆弾が、アリゾナ号の弾薬庫に命中して誘
 爆、超ウルトラス~パ~大爆発を起すシーンだが、戦艦内部から 
 の衝撃波によって船体が内側から破裂し、周りの戦艦が衝撃波の
 被害を受ける様子等をリアルに再現した。

 それに、甲板を走るCG水兵達が吹っ飛ぶエフェクト等や炎、
 破片等を加えて仕上げた。

 Mayaのシュミレーションテストの映像が流れたが、甲板だけ爆発
 しなかったり、壊れ方が変だったり、というNGも含まれており、
 かなり試行錯誤を繰り返した。

〇ゼロ戦の大群がやってくるシーン

 ゼロ戦の大群が、ハワイの山沿いに侵入してきて、山で連れ小便
 をしている子供2人が驚くシーンがあるが、

 実は、ゼロ戦は2機だけ本物(現役で飛べるヤツが、サンタモニ
 カ空港のの航空博物館に保存してある)を飛ばし、撮影。それに、
 後から膨大な数のCGゼロ戦を合成。

 ゼロ戦による攻撃シーンは、多いところで190エレメントの
 合成素材から成っている。

 ちなみに、本物の真珠湾攻撃に参加したゼロ戦は350機だそう。

〇真珠湾の攻撃シーン

 真珠湾の港のシーンは、ヘリで上空からの絵を空撮して
 テクスチャ用の素材にした。

 爆発のシーンでは、あまり実写フッテージは使用せず、インハウ
 スのボリューム・レンダラーでリアルな煙素材を沢山用意し、合
 成した。このレンダリングには1フレームあたり1時間位かかっ
 ている。パーティクルの数は約300万個程になった。

  (この煙はかなりリアルで、驚いた)

 戦艦オクラホマ号の沈降に転覆よるシーンは、「タイタニック」
 を撮影したメキシコのFOXスタジオの巨大プールに、実物大の巨
 大な戦艦セットを建設して撮影。

 このセットは、油圧操作により、転覆←→元通りを何度でも繰
 り返す事が可能だった。

 しかし、セットは戦艦の一部分しか作っていない(甲板だけで、
 艦橋等がない)ので、残りはマッチムーブしてCGで起し、そ
 れに爆発のエフェクトや、爆発で吹き飛ぶCG犠牲者を等を足
 した。

 合成前の撮影素材は、撮影時に35mmカメラのアパチャを開けて、
 フルで撮影して、合成の際に丁度良い部分をトリミングして
 使っている。

 (撮影素材だけを見ると、どうしてもスタントマンの動きが
  ざ~とらしく、なんだかウソっぽい。動きが大袈裟なので、
  かえって笑えたりする。これに、CG犠牲者とか、炎とか
  エフェクトをを加えると、かなりリアルになるから不思議
  だ。これが合成の魔力である。)

 合成は大変だった。20人の合成チームが、かかりっきりで
 作業した。

〇笹原兵器工場

 東京の笹原兵器工場の爆撃シーンは、すべてミニチュア。

 外で撮影する為、ミニチュアセットの建設は、ネバダ州で行
 った。なぜネバダ州かと言えば、雨が少なく、天候がとても
 安定しているからだ。

 (次の瞬間、ミニチュアセットが雪に埋もれている映像が登
  場し、場内は大爆笑。笹原兵器工場のセットの横で、雪合
  戦をするスタッフなどのビデオも流れた)

 広大な敷地に建設された、人間の背丈位の高さがある大きな
 ミニチュア工場の上を、ワイヤーで吊るしたカメラを移動さ
 せながら、爆発を高速度撮影で撮影。

 これにより、リアルな爆撃シーンを実現した。

 工場地帯の「引き」のショットは、ミニチュアだけでは到底
 ムリなので、インディアナ州の「USスチール」という鉄工
 所を空撮して、それらしく使った。

〇質疑応答

 Q:ゼロ戦は、ど~してあの緑色になったのか?

 A:見てカッコ良いからだ(笑)
   また、真珠湾の海面と見分けが付き易いような色にする
   必要性もあった。

 Q:実写とCGの合成が多いが、撮影レンズのディストーション
  (歪み)にはどう対処しているのか?

 A:チャート等を撮影して、歪具合のテストをする。必要に応じて
   2Dで歪補正の処理をかけて、それから使っている。

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という事でございました。

映画をご覧になった方は、是非ご参考になさってみて下さい。

それでは、また。


さて、今月もLA SIGGRAPHが開催されました。

今回のホストはDIGITAL DOMAINで、映画『タイタニック』のメーキング紹介でした。

会場は、先月と同じく、UCLAのホールでした。

UCLAならば30分以内で行けるので、少し時間に余裕を持って出掛けました。

車で Sunset Blvdを西へと向かったのですが、途中から渋滞。
それも、左車線だけ。右車線はガラ空きです。

UCLAはSunsetを途中で左折して、すぐの所にあります。

っつ~事は、この車、全部 LA SIGGRAPHへ行く連中?

予感は的中し、車の列はUCLAまで続きました。
UCLAに着いたら着いたで、今度はパーキングに入るところで大渋滞してます。

どひゃあ。

こんなの、見たことない。
いつもUCLAでやる時はラクラク入れるのに......

やっとの事で車を止め、会場のホールに行きました。
すると、今度は長蛇の列。

うひゃあ。

でも、この行列はメンバー以外の参加者の待ち行列である事がわかったので、メンバーである僕は先に入る事が出来ました。

『空いているお席はおつめください』というアナウンスが流れる程で、ホールは完全に満席でした。

チケットはとうとうSOLD OUTになり、中に入れなかった人も多数出た模様です。

内容が内容だけに、西海岸中のCG野郎が集まったのでしょう。

かくして、波乱と狂気のLA SIGGRAPH は幕開けになりました。

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LA SIGGRAPH Presents, Tuesday, January 13th

DIGITAL DOMAIN

6:30-7:30 Social Hour(食べ物、飲み物で懇親会)
7:30-9:00 Program (講演)

At UCLA MacGowan Hall

Speaker:
Matthew Butler - Data Integration Supervisor
Andre Bustanoby - Performance Capture Supervisor
Richard Kidd - Digital Water Supervisor
Daniel Loeb - Charactor Supervisor
Erik Nash - Visual EFX Director of Photography
Kelly Port - Digital Paraphenalia
Daniel Robichaud - Animation Supervisor

参加費:
メンバーは無料(年会費$25 / 約3250円)←日本なら1万円はするな
ノンメンバーは$5.00 / 約650円 ←日本なら2千円はするな

このテの講演ではいつもそうですが、笑いの絶えない、非常になごやかな雰囲気で進められます。

今回も、最初に挨拶したデジタルドメインの人が、

『UCLAに来たのは20年前に願書を出した時以来で(って事は落ちたのか)、そんなオレがUCLAのホールで講演出来るなんて、光栄だ!』

 

とスピーチし、会場を湧かせました。 では、その内容をかいつまんでご紹介。

(かいつまんだと言っても、今回のレポートはけっこう長めです)


○CGによるタイタニック号のクルーと客のキャラクター・アニメーション

◇今回、船の上の客、クルー等をCGでやった。

◇CGによるキャラクターアニメーションは2割がモーチョンキャプチャだが、残りの8割は手作業でアニメーションをつけた。

◇モーションキャプチャは、デジタルドメインのすぐ近くにある、ベニスのHouse Of Moves社で行った。

◇役者に60個のマーカーをつけ、それを取り込んで動きを自動抽出するという方式。

◇モーションキャプチャによるシーンは、比較的早い時期から、日本人のCGアニメータ、山口圭司がキャラクター・アニメのテストに望んだ。

◇映画の最初の方に出てくる、甲板の上を客が歩いているのが見えるシーン等はモーションキャプチャによるもの。
(お母さんが女の子を抱いて、前方の海を指さしているシーンのメーキング映像等が流れた)

◇また、沈没する船から人がバラバラ落ちる部分も、CGで表現している。

◇人がロープに捕まってブラ下がっている部分は、CG。モーションキャプチャで動きを抽出。

◇周りでボロボロ落ちる人もCGだが、動きは手作業。引きのシーンだし、暗いから、アラはそれ程目立たない。

◇垂直になった船尾から人が落ちるロングのシーンは、スタントマンに、カラーバーのような模様の入った、目立つ色のウエット・スーツ(後で動きが見えやすいように)を着せ、クレーンでつり上げたゴンドラの上からエアマットに飛び降りてもらい、それを撮影。ロトスコープして動きをつけ、CGに置き換え。

◇シーンによっては、主役の2人以外、背景で落っこちそうになって動めいている人は全部CGだったりする。(すげぇ)


○タイタニック号

◇メキシコに実際に作ったほぼ実物大(90%スケール)のタイタニックのセット、ミニチュア(5種類あるらしい)、CGの使い分け。

◇映画冒頭の、海底に沈んでいるタイタニックは、大西洋に沈んでいる本物をキャメロン監督が海底で撮影したものと、ミニチュアをスタジオで撮影したのを使い分けている。

◇部分的に、Windows NTのプラットフォームで動く、LightWave 3Dも使っている。船の側面や、海中シーン、最初に出てくる沈没シュミレーション等。

(Cinefexには、LightWaveのプラットフォームはDECのAlpha Processors、本編で LightWaveが使われたのは3ショットだけ、船のモデリングとテクスチャの作業に6ケ月かかった、とありました)

注:"CINEFEX"には日本語版もあります。
オフィシャルページと、定期購読のご紹介はこちら。
<http://www.mediagalaxy.co.jp/toyspress/cinefex/index.html>


○海

◇ミニチュアの船体、CGの船体に絡んだ海は、すべてCG製。
Arete Image Softwa/re社のRenderWorldやDigitalNatureTools等。

水泡はPrismsのパーティクルシステムや、スクリプトベースの自社開発のオリジナルソフト。

Rendermanも活躍したそうです。


○ローズおばあちゃん

メーキング映像の説明の際『これはCG』『これはミニチュア』『これは実写』という細かい解説が入ったのですが、

ローズおばあちゃんのアップのシーンで、

『これは、本物です』

という解説が入り、ウケてました(笑)

これが、もしデジタルのリアルなオバアちゃんだったら、大変ですよねぇ。

バーチャン・リアリティ、なんちゃって(自沈)


○デジタル・コンポジット

◇モーション・コントロールカメラと実写の絡みが多く、苦労した。

◇作業の流れをフローチャート化し視覚的に理解し易くするなど工夫した。
素材の絡みや、モーフィングチームとの連係など。

◇素材はそのままただ合成するのではなく、種々の後処理が加えられている。
フォグ、影、ボケ、モロモロ。

◇膨大な合成レイヤーを処理した。

◇解像度は大体2K。

◇カットによってはキー・ライトの位置の関係やセッティングの時間の都合等から、グリーンマットで撮らず、後ろが全部映った『素』で撮り、後でマスクを起したカットもある。

 

◇タイタニックが出港するシーンは、

・船→ミニチュア
・甲板から手を振る客→実写の素材を適材適所に合成
・海→CG素材
・しぶき→CG素材
・背景のタグボート→マット画
・タグボートの煙→パーティクル
・桟橋の建物→マット画
・桟橋の客→実写の素材を適材適所に合成
・その他

などの膨大な素材の組合わせによるもの。

ちゃんとカメラも動いているし、止っている絵がひとつもないんですねぇ。
すげぇ。

◇甲板でくつろぐ客に、カメラが海方向からクレーンで寄るシーン

 

・ほぼ実物大のセット(メキシコ)で撮影 ・タイタニックのセットの左側側面の下部は支柱がむき出し(桟橋側はよく映るのでちゃんと作り込んであるが、反対側は上部だけしか作ってない)で、下を歩くスタッフや、背景にメキシコの山等も映っている。

・それを、デジタル合成で山を消して空を差し換え、支柱の上にCG製の船の側面をのせ、スタッフを消してCG製の海を合成、煙突の煙、フォグ、モロモロを加えると、完成。


○プロダクション運営

複雑多岐に及ぶプロセス、大人数のスタッフをうまく『回す』にあたり、

◇キャメロン監督←→現場

◇3D部隊←→2D部隊

◇遅番←→早番

等の『風通し』の方法を工夫したそうです。


○目的不明のジョーク・ビデオ

講演の一番最後に、『MAKING OF TITANIC』と称するビデオが流れました。

メーキングとは名ばかり、目的不明の、冗談テンコ盛りの、内輪ウケねたばかりを集めてMTV 風に編集したビデオです。

これが大爆笑になっていました。

どんな内容かというと、

・タイタニックの客の中に、なぜかセサミ・ストリートのキャラクターが合成されている。

・緑色のカエルのキャラクタ、カーミットが、タイタニックの屋根に腰掛けて、足をブ~ラブラさせている。

・タイタニックのブリッジから、エルモ達が顔を出している。

・人が落ちる際、クマちゃんが同じ動きをしながら一緒に落っこちる。

・船体が2つに割れるシーンで、なぜか巨大な赤ん坊が出てきて、目からレーザー光線を発射。船はそれが原因で沈む。(爆笑)

・出港するタイタニックのシーンで、艦首に、なぜか張り紙が合成されてる。

『SINK ME』(意味:私を沈めて...)

・キャメロン監督が潜水服を着て、海底からご挨拶。

・なせか、セットで皿を割り続けるスタッフ。

・沈みかかったタイタニックの甲板で、なぜか船員が平然とデッキの掃除をしている(他のシーンの素材を合成してある)。

・タイタニック号の遥か後ろの水平線に、パラマウントのマークが後光になって輝いている。(お上に対するヨイショか?)

などなど。

おそらくは打ち上げパーティ用だと思いますが、すべてきちんと合成され、カメラパスもご丁寧に合せてあるのです。

ここまでやるか、フツー?

アメリカ人ですねぇ(笑)

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この『タイタニック』のデジタル・エフェクツには、僕の知人の3人の日本人スタッフが参加しています。

・山口圭司氏 / DIGITAL DOMAIN - Digital Artist

僕のリンクス時代の先輩で、タイタニックでは船の客のキャラクター・アニメーションを担当。

・塩沢敏明氏 / DIGITAL DOMAIN - Digital Artist

都内の大手CGプロダクション、イマージュを経てデジタルドメインに移籍された塩沢氏は、タイタニックでは『リアルなCGの海』を担当。

・曽利文彦氏 / 東京放送 開発局 マルチメディアセンター CG担当

TBSの社員の曽利氏は、TBSと南カリフォルニア大学の交換留学生として昨年1年間在米。その間、山口氏との親交からデジタルドメインのタイタニックにインターンとして参加。山口氏と共に船の客のキャラクター・アニメを担当。現在は留学の終了に伴い日本に戻られ、東京のTBSでご活躍中です。

この3名の方々は、エンドロールにしっかりと名前が載っています。

それでは、また。

 


 


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1982年に公開された「トロン」(ディズニー)は、ビデオやDVDでご覧になられた方も多い事と思う。

そんな「トロン」が、5月6日(木)より16日まで、ハリウッドにあるディズニー直営映画館「El Capitain Theater」において、公開当時と同じく70mmプリント、6チャンネルのドルビー・サウンドで10日間の限定リバイバル上映が行われている。

当時、2年もの歳月をかけ、

・世界で初めてCGをセル・アニメーションに合成

・製作は8時間交代の24時間体制

・600,000枚もの白黒セルを4台の65MMアニメーション・カメラで
 コマ撮り

・セルの作業は85%近くを台湾に発注、撮影しながら合成したので
  失敗すると1からやり直し。

・バイクのシーンは17回も撮影しなければならなかった。

・使用したコンピューターは今の携帯電話以下の性能で価格は6億円

そんな破天荒なプロダクションの末にようやく完成したアニメーション大作だったが、評論家は酷評、興行成績も思わしくなく、ビジネスとしては大失敗に終わった。

しかし、そのビジュアルのインパクトはすさまじく、非常に多くの映像アーティストや、その後の映像&映画作品に多大な影響を与えた事はご存知のとおり。

同劇場では、撮影で使用されたオリジナルのコスチュームや、映画公開当時のキャラクター商品の展示に加え、地下ホールでは「トロン」のビデオ・ゲームが体感出来るコーナーも設けられている。

また、公開初日には元製作スタッフによるパネル・ディスカッションも開催されたようだ。

正にファンにとっては垂涎もののリバイバル上映と言える。

筆者も、さっそくEl Capitan Thearerに足を運んでみた。映画が映画だけに、一般の客層とはやや異なる(笑)コアなファンやマニアっぽい観客ばかり。

公開当時にも酷評された問題のストーリーはさておき、アニメーションの完成度の高さは今観ても新鮮だ。カメラアングルやタイミングも洗練されており、よくコマ撮りと多重合成だけでここまで実現
したと関心する事しかりである。

また実写のラボのシーンで、80年代のドでかいコンピューターが何度か画面に登場するが、その都度場内からは笑いが起こっていた。

最後のエンドクレジットでは、CG史上で著名な人物や、今は存在しないが当時最先端のCG会社(マジャイ、トリプル・アイ、デジタル・エフェクツの各社)等のクレジットが出ると、手を叩いて喜んでいる人もいた。ベテラン格のCG業界関係者だろう(笑)

El Capitain Theaterはハリウッドのド真ん中にあり、82年当時の公開が行われたハリウッドのチャイニーズ・シアター(Chiinese Theater)のほぼ正面に位置する。上映は16日まで。

 


 

 


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