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ハリウッドで13年の歴史を誇る大手エフェクト・ハウス、デジタル・ドメイン(DIGITAL DOMAIN INC. / カリフォルニア州ベニス)が先ごろ発表したところによれば、同社はゲーム市場への本格参入を視野に入れ、「次世代のデジタル・コンテンツ・スタジオ」を目指して今後のビジネス展開を図っていく計画だという。
デジタル・ドメインは、昨年5月、フロリダを拠点とする投資グループ会社ワインドクレスト・ ホールディングスに3500万ドルで買収されたが、当時は「マイケル・ベイがDDを買収」というニュースをウォール・ストリートジャーナルやハリウッド・リポーター等の著名メディアがトップで報じ、業界を驚嘆させたのが記憶に新しい。
それもそのはず、ワインドクレスト・ ホールディングスの出資者にはマイケル・ベイ監督が含まれていた事もあり、ベイ氏は昨年5月のDD買収では最も影響力を持つ存在だった。氏は現在デジタル・ドメインのCo-Chairmanとして同社をリードしている。
元マイクロソフトのエグゼクティブだったカール・ストーク氏は、同社の前CEO、スコット・ロス氏のポジションを受け継ぎ、現在は既にCEOに就任している。
また昨年秋に社長に就任したマーク・ミラー氏は、ILMのプロダクション&マーケティング・シニア・エグゼクティブからデジタル・ドメインに引き抜かれた人物だ。
これらの新執行部は、今後数年間の間に数本のゲーム開発を目標に、設備投資やゲーム開発者の雇用なども計画しているという。
デジタル・ドメインは最近、マイクロソフトのXbox360の人気ゲーム「Gears of War」の60秒テレビ・コマーシャルを完成させた。
これは、実際のゲーム・エンジンのハードに限りなく近い開発環境で製作された作品で、実機レベルのインタラクティブ・ゲーム風な仕上がりを意識した、ユニークで斬新な絵作りで話題を呼んでいる。
製作期間はわずか5週間で、通常のコマーシャル作品に必要な製作期間の約半分の期間で完成させたという。
これも、ゲーム・マーケットに対する新しいチャレンジの表れと言えるだろう。
デジタル・ドメインは映画「パイレーツ・オブ・カリビアン3」のVFX作業(ILMと作業を分担)を4月に完了させ、現在も映画「トランスフォーマー」を始めとする大規模プロジェクトで忙しい日々を過ごしているが、この発表により今後の動向が更に注目されるところだ。
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著者追記:2008年11月、米メディアが報じたところによれば、ワーナーブラザーズは2008年のGDC等でも発表した新プロジェクト「ThunderCats」(サンダー・キャッツ)の、ゲームとフルCG映画の両方を同時進行で開発する事を前提にデジタル・ドメインへ発注してきたが、ディレクションの相違によって同プロジェクトをひとまず中断した。これによって、デジタル・ドメインのゲーム部門は2009年の1月に自動的に解散となった。このゲーム部門を率いて来たキム・リブラリー氏はデジタル・ドメインを去り、ILMに戻った。現在はILMにてVFXスーパバイザーとして活躍中である。
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(C)1998-2009 All rights reserved 鍋 潤太郎
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著者注:2006年の記事です。
ハリウッドで13年の歴史を誇る大手エフェクト・ハウス、デジタル・ドメイン(以降DDと表記)は、ILMのトップ・シニア・エグゼクティブ3名を引き抜き、同社へ迎え入れる事を9月20日付で発表した。
今回ILMより引き抜かれるのは、
①マーク・ミラー氏
ILMのプロダクション&マーケティング・シニア・エグゼクティブ。
→DDの新社長として。
②クリフ・プルマー氏
ルーカス・フィルム全体のCTO(チーフ・テクノロジー・オフィサー)。
→DDの新CTOとして。
③キム・リブレーリ氏
「マトリックス」3部作のVFXで有名なESCエンターテイメント(2004年に閉鎖)の設立メンバーで、「マトリックス」のバレットタイム等に代表される、テクノロジー・スーパーバイザーとして活躍。「マトリックス」終了後にILMへ参加し、 「ポセイドン」等でその手腕を発揮。
→DDの新副社長および高度経営戦略担当者として。
の3名で、近々にデジタル・ドメインに迎えられる予定だという。
デジタル・ドメインと言えば、今年5月、フロリダを拠点とする投資グループ会社ワインドクレスト・ ホールディングスに3500万ドルで買収されたのが記憶に新しいが、5月当時は「マイケル・ベイがDDを買収」というニュースをウォール・ストリートジャーナルやハリウッド・リポーター等の著名メディアがトップで報じ、ハリウッドのエフェクト業界を驚嘆させた。
なぜなら、ワインドクレスト・ ホールディングスの出資者には、マイケル・ベイ監督が含まれており、5月のDD買収では最も影響力を持つ存在。また、元マイクロソフトのエグゼクティブだったカール・ストーク氏もその1人。
ワインドクレストの出資者に、他にもNFLのスター選手ダン・マリノ氏等の著名人も名を連ねている。
実際、5月15日月曜日にDDの全クルーを集めて行われた社内説明会では、マイケル・ベイ監督やカール・ストーク氏らが壇上に上がり、自ら熱弁を振るった。
カール・ストーク氏は、DDの前CEO、スコット・ロス氏のポジションを受け継ぎ、現在は既にCEOに就任している。
デジタル・ドメインの新経営陣は、VFXビジネスだけではなく、フルCGアニメーション作品やゲーム等の多角マーケットも意識して新戦略を練っている模様で、今回の「引き抜き」はその体制強化の一環と見られている。
ミラー、プルマー、リブレーリの3氏は、DDのエクゼクティブ・リーダーシップ・チームの一員としてDDへ迎えられる予定であり、CEOのカール・ストーク氏、デジタル・スタジオ・グループの責任者ジェフ・ストリンガー氏らと共に、CM広告ビジネスや米国内外の劇場用映画ビジネスに力を注いでいく予定である。
3人のプロファイル(肩書きはデジタル・ドメインへの就任後のポジション)
マーク・ミラー
デジタル・ドメイン社長。ILMにて21年の経験をもつベテラン。1984年にルーカスフィルムに入社し「インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」のプロダクション・アシスタントとしてそのキャリアをスタート。91年のオリバー・ストーン監督の「ドアーズ」でプロデューサーに昇進。その後はILMにおいて「ジュラシック・パーク」「ハルク」「ハリーポッター」シリーズ等、アカデミー賞の視覚効果賞にノミネートされた数々の作品を手掛けている。
クリフ・プルマー
デジタル・ドメインCTO。プルマー氏は1984年よりカメラ・オペレター、エディター、テクニシャン、CGアーティストとしてそのキャリアをスタートさせた。ILMと、その親会社であるルーカス・フィルムにおいて10年の経験を持つ。ルーカス・フィルムではCTOとして活躍し、氏の過去20年に及ぶ映像業界での経験を存分に生かし、テクノロジー分野のリーダー的役割を果たした。昨年、ルーカス・フィルムとILMがサンフランシスコのマリン郡より、現在のプレシディオ国立公園にある新社屋に移転する際も、新社屋の最新テクノロジー施設等を手掛けた。
キム・リブレーリ
デジタル・ドメイン副社長、高度経営戦略担当者。ロンドンの出身で、コンピューター・フィルム・カンパニーのシニア・ソフトウエア・エンジニアとしてそのキャリアをスタート。サンフランシスコのエフェクト・ハウスESCエンターテイメント(94年に閉鎖)の設立メンバーの1人でもある。ILMではVFXスーパーバイザーを務めた。氏のクレジットには、「マトリックス」3部作や「奇蹟の輝き」「ミッション:インポッシブル2」等が含まれている。
デジタル・ドメイン:
1993年にジェームス・キャメロン、スタン・ウィンストン、スコット・ロスの3氏によって設立されたエフェクトハウス。
「タイタニック」終了後に、キャメロン監督と、ウィンストン氏はDDを去り、それぞれ独立して自己のプロダクションを設立、活動している。
今年5月のDD買収劇でスコット・ロス氏が同社を離れた事により、オリジナルの設立メンバーは全員、DDを去った事になる。
DDの映画部門は、「タイタニック」「奇蹟の輝き」等でアカデミー賞 視覚効果賞の受賞歴を持ち、「アポロ13」「トゥルー・ライズ」「アイロボット」等がノミネートされている。
コマーシャル部門も有名で、これまでにトップCMディレクターとのコラボレーションにより100社のテレビCMを手掛け、34のクリオ賞、22のAICP賞、8のカンヌ映画祭 獅子賞などを受賞している。
「D2ソフトウエア」が開発&販売を手掛ける合成ソフトNukeは、アカデミー科学技術賞に輝き、国内外のプロダクションの他、デジタル・ドメイン社内の主力コンポジット・ツールとして使用されている。
今年5月に投資グループ会社ワインドクレスト・ ホールディングスに買収され、その投資者の1人であるマイケル・ベイ監督がDDに強い影響力と主導権を持つ事になった。
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