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映像ジャーナリスト 鍋 潤太郎の随筆による、ハリウッドVFX情報をいち早くお届けします。

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8月11日、ロサンゼルスに本部を置くビジュアル・エフェクツ・ソサエティ(全米視覚効果協会)は、来年2月11日にハリウッドで開催予定のVES Awards授賞式において、ILMで長年に渡る優れた功績を打ち立ててきたデニス・ミューレン氏に、生涯功労賞(Lifetime Achievement)を贈ると発表した。

VES Awardsの委員長であるジェフ・オークン氏(映画「ラスト・サムライ」等のVFXスーパーバイザーとしても有名)は「今回、ミューレン氏にこの賞を与える事を大変嬉しく思います。私個人も、これまでのミューレン氏の偉業から大変な影響を受けましたし、氏の「ストーリー・テリング」に長けた視覚効果は他の追従を許しません。ミューレン氏こそ、生涯功労賞にふさわしい人物と言えるでしょう」と語っている。

ミューレン氏が受賞する生涯功労賞は、ジョージ・ルーカス氏、ロバート・ゼメキス氏に続いて3人目となる。

ミューレン氏は1975年に「Star Wars」でそのキャリアをスタートさせ、その直後にILMがロサンゼルスからサンフランシスコに移った後も30年間近く在籍、今もなお現役でVFXスーパーバイザーとして多忙な日々を送っている。氏は8回のアカデミー賞 視覚効果部門での受賞、そして9回の化学&技術賞など、「最も実績のあるVFXアーティスト」として君臨してきた。手掛けた作品も「帝国の逆襲」「ジェダイの復讐」「ET」「インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」「インナースペース」「アビス」「ターミネーター2」「ジュラシック・パーク」他、最近では「宇宙戦争」等がある。VFX界をリードする作品ばかりだ。

最近、ミューレン氏が1970年に学生映画として製作した「Equinox」がDVDリリースされ、マニア層を喜ばせた。また、99年に氏は、ハリウッド大通の歩道上にあるStar on the Hollywood
Walk of Fame(名前が刻まれた星型のプレート)にも、VFXアーティストとして初めてその名を刻む等、多大な実績を残している。

この記念すべき授賞式は来年2月11日に開催されるが、この授賞式は次回より、より素晴らしい会場へと場を移す事になった。アカデミー賞が行われるハリウッドのコダック・シアターと同じ敷地内にあるThe Grand Ballroomでの開催となり、当夜出させるディナーは「スパーゴ」創立者のスターシェフ、ウォルフガング・パック氏が腕を振るう予定となっている。


※VES:

 VESは「Visual Effects Society」の略。全米監督協会、脚本家協会、俳優
 協会等と並ぶ、ハリウッドの数ある映画ギルドの1つである。

 日本語で言うと「全米視覚効果協会」という事になる。

 VESは、ハリウッドを中心とする映画&テレビ等の映像業界におけるビジュア
 ル・エフェクツ(VFX)、つまり視覚効果産業に従事するプロフェッショナル達
 で構成される、「VFXのプロの、プロによる、プロの為の協会」である。

 協会の設立は97年。現在の会員数はアメリカだけで900人余り、海外のメンバ
 ーも含めると1100人以上という規模を誇る。メンバーは年々増え続けており、
 世界最大規模のエフェクト業界のギルドである。

 会員になるには、最低5年間の現場経験を有する事が条件とされている。しか
 も入会の際には現役会員2名の推薦&署名が必要とされ、最終的には年2回だ
 け行われる理事会の承認が得られないと正式には入会出来ない。それ故に、会
 員はハリウッド&アメリカのショウビズ界において活躍しているプロばかりで
 構成されている。
 
 


 


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書かれたものを再編し、ご紹介しています。

著者に無断での転載、引用は固くご遠慮下さいますよう、
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(C)1998-2009 All rights reserved  鍋 潤太郎

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著者注:2006年当時の記事です。以降「Toy Story3」は仕切り直し、2008年現在、ピクサーにて2010年の公開をめざし、制作が進められています。

筆者が映像新聞2006年1月30日号でもお伝えしたように、米ウォルト・ディズニー・カンパニー(以下ディズニー)はサンフランシスコのピクサー・アニメーション・スタジオの買収を1月24日に発表したが、そのあおりを受け、ディズニー・フィーチャー・アニメーション内で製作準備が進められていたフルCG長編映画「Toy Story3」の製作が、一旦白紙の状態に戻される事になった。

ディズニー・フィーチャー・アニメーションでは、昨年から2008年の公開をめざして「Toy Story3」の製作準備を進めており、大規模な人材募集活動も行われていた。

この作品では、"Made In Taiwan(台湾製)"のバズが、リコールによって台湾に返品される事になり、ウッディーをリーダーとするオモチャ達が、バズを救う為に大奮闘する……というストーリーになるはずであった。

この作品は元々、ディズニーとピクサーとのフルCG映画配給における契約終了に基き、ディズニー側が「ピクサー抜き」で単独製作する方向で製作準備が進められてきた。

しかし、今回のディズニーによるピクサー買収が発表された翌日の25日水曜日、ジョン・ラセター氏とエド・キャトマル氏がバーバンクにあるディズニー・フィーチャー・アニメーションのスタジオを訪れ「『Toy Story3』のプロダクションを白紙に戻す」という発表が全スタッフに対して伝えられた。

既に「Toy Story3」の為に多くのスタッフが雇用されており、中には23日の月曜日から働き始めたばかりの人もいる。契約書の関係もある為、担当スタッフ達の今後の処遇はまだ未定というが、現時点では幸い、レイオフや解雇の実施等の事態には発展しておらず、大きな混乱はないという。

筆者の友人であるスタッフの1人は「こういう事が起りうるので、この業界は生きて行くのが大変だ。働いている人たちがどうなるのかはまだ決まっていない。しかし個人的には、新しい組織がディズニーをどう引っ張っていくか楽しみだ。優れたクリエータがトップに立つのは、働いている社員達に取って良いことだと思う」というポジティブな意見を述べていた。

ハリウッドの業界関係者を仰天させた、ディズニーによるピクサーの買収ニュースだが、このような思わぬ余波を引き起こしているのである。

先の買収劇はアメリカでも当然ながらトップ・ニュースとして扱われた為、ハリウッドのお膝元、地元ロサンゼルスでも話題を呼んだ。先日、近所のスーパーマーケットでレジの列に並んでいると、顔なじみのレジ係が「大変なニュースだね。君の友達とか知り合いは大丈夫かい?」と心配してくれる有様だ。

今度も目が離せない動向と言えるだろう。


 


 


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