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映像ジャーナリスト 鍋 潤太郎の随筆による、ハリウッドVFX情報をいち早くお届けします。

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  世界で初めてのデジタル上映で配布されたプログラム
1st_DLP.jpg
"StarWars Episode I"の全米公開から1ケ月が経過しましたが、6/18日から、全米の4ケ所(NY*2,LA*2)の劇場で、画期的な試みがなされています。
 
 これは、映写機とフィルムを使わず、デジタル信号をハードディスクから読み取り、 それをデジタル・プロジェクタでスクリーンに映写するというシステムによる、全く新しい映写方式による上映。4週間だけの、限定上映です。
 
CineComm Digital Cinema社 と、Texas Instrumentsが開発した2種類のシステムがあります。
 
筆者はBurbankのAMC14で観たのですが、ここはTexas Instruments社の開発したDLP(Digital Light Processing)による上映でした。
 
LAでは、たった2個所(このAMCと、Pacific系列の Winnetka Theater)の上映なので、ものすごい人でした。チケットは軒並みSOLD OUTで、映画館の前は長蛇の列。やっとの事で、土曜の夜10:30の回のチケットを買いました。
 
中に入ると、「“未来の劇場”へようこそ」という看板や垂れ幕が下がり、雰囲気を盛り上げています。
 
シアターの中は、コアなファンや、映像関係者(Tシャツでわかる)でごった返し、奇声や悲鳴を上げるアホが沢山いて、ものすごく盛り上がっていました。
 
さて、DLPですが、
 
 
○ 画面が明るい。
○ 発色が非常に良い。
○ 暗部の表現が優れている。
○ 解像度も、充分。
 
という事で、想像以上のクオリティで、はっきり言って驚きました。
 
また、なんと予告編や、「AMCのオープニング」アニメーションもすべてDLPでデジタル上映されました。
 
「AMCのオープニング」は、これ迄に死ぬ程何度も観ているので、DLPで観たクオリティの違いは一目瞭然でした。
 
THXのタイトルは、専用のバーションが使われていました。
 
このAMC14では、45.5フィートx18フィート(横13.86m x 縦5.48)の大きなスクリーンで、SXGA(1280x1024)の解像度で上映されていましが、解像度的には充分だと思いました。髪の毛1本1本まで、鮮明に見えましたし。
 
(劇場で観たときは、もっと高い解像度なのかと思っていたのですが、横1280だったのですね)
 
同じ劇場で、DLPとフィルム上映と比較した事がないので、正確な画質比較は出来ませんが、見た目では、ほとんど問題ありませんでした。
 
実は筆者はこの映画館で、最初、間違えてフィルム上映の普通の小さいシアターに入ってしまい(大馬鹿)、その後改めてこのDLPを観たので、その意味では、見た目の印象の比較は出来ました。怪我の功名ですね。
 
料金は2回分取られましたけど……時間も2回分かかりましたけど……まいったまいった。どうして、こ~ドジなんだろ。
 
思った事は、グラデーションのボケ足がフィルムよりも減衰度が低く、ボケ幅が大きく見えました。(ルーカルフィルムのロゴのフレアや、ライトセーバー、宇宙船のハイライトのフレアなど)
 
これは、ガンマの特性が、フィルムとは違う為でしょう。
 
影の部分や、暗い部分も、フィルム上映よりは細かいディテールが良く認識出来ました。
 
また、この方式は、フィルムではないので、スクラッチ、ゴミ、画面の揺らぎ等がありません。
 
スクラッチやゴミや揺らぎがないという事が、これ程見た目に心地よいとは思いませんでした。非常に新鮮な印象を受けました。
 
その意味では、「大画面でDVDやHDの画像を見たような感覚」に限りなく近いと思いました。
 
巷では「トーキー映画以来の快挙だ」等と書かれているようです。
 
 このシステムの登場は、フィルムの現像に従事するラボ業界や フィルムメーカーにとっては、少なからずショックな出来事になるかもしれませんね。
 
   P.S. 映写窓の下から覗いてみましたが、35MM映写機の横に設置されたDLPのプロジェクタは、35MM映写機よりも映写レンズが非常に大きかったのが印象的でした。
 
映写窓を見上げていると、同じように上を見上げている人がチラホラ。筆者の傍らには、Dream WorksのTシャツを着た人が。結局、同類の行動パターンは同じなのですね。
 

 
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(C)1998-2009 All rights reserved  鍋 潤太郎

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○必見!! "SF好きの少年"と"心優しい巨大ロボット"の心暖まる物語
「The Iron Giant」  - Warner Bros. Animation (09/14/1999)

  地味に宣伝され、地味に公開されたものの、その素晴らしい完成度にハリウッドの映像関係者が絶賛した話題作 -「The Iron Giant」。

  原作は、イギリスの桂冠詩人Ted Hughesが1968年に発表した"Iron Man"。人気TVアニメシリーズ「シンプソンズ」を手掛けたBrad Birdが監督し、8月4日から全米2179館で公開された、長編アニメーション作品である。

  東西対決の「冷戦」初期の1958年。アメリカの静かな街Rockwellで母親と2人で暮らしている少年、ホガート。母子家庭で育った寂しがり屋の彼は、いつも友人を探していた。そんなある日、彼は宇宙から落ちてきた、身長50フィートの巨大ロボットと遭遇する。心優しいロボットと友達になったホガートだが、彼らには恐ろしい運命が待ち受けていた…というストーリー。

  この作品は、最近のメジャーな長編アニメーション映画の平均製作期間の「約半分」に相当する、たった2年間という短い期間で製作され、ディズニーやドリームワークスと言った有名アニメーションスタジオの平均製作予算の、これまた「約半分」の、$48millionで製作されるという、限られた条件の中で完成された。

  しかも、製作のワーナー・ブラザーズが宣伝にあまり力を注がなかった事が災いし、公開最初の週末の売り上げがたったの$5million、9月5日の段階での興行収入がたったの$20.73millionと、興行的には全く振るわなかったのである。

  しかし、映画を観た業界関係者やアニメータ達は、映画としての完成度の高さに一様に驚いた。「この映画は本来売り上げNO.1になるべき作品だ。みんな劇場に行って売り上 げに貢献しよう!」と言った電子メールが業界を駆け巡る等、異例の盛り上がりを見せ、 話題を呼んだ作品である。

この作品では、3DCGが多用されているが、「3DCGと2Dのアニメを如何に馴染ませるか」が製作上の大きなポイントとなっている。巨大ロボットの表現にはMAYAを採用、複雑なアニメーションを実現し、アニメセル調のレンダリングによって、2Dの背景と馴染ませている。

2Dの背景及びエフェクトは、 Elastic Reality, After Effects, Photoshop, Animo, Bryce 3D等の一連のアプリケーションを、効果的に駆使する事によって完成度をより高め、逆に3DCGの巨大ロボットへと「質感の歩み寄り」を試みた。

このように、3Dと2Dの相互の歩み寄りによるデジタル・テクノロジーの融合が、完成度の高い映像へと結びついているのである。

筆者は2回、劇場に足を運んだ。感動的なエンディングでは泣いている人も沢山おり、大人の鑑賞にも充分耐えうる、完成度の高い作品である事を証明していた。

気になる日本での公開時期だが、筆者が電話で問い合わせたところ、

「今のところ、日本での公開の予定は全くナシ。ひょっとしたら、来年あたりか…でも、正確な所は、この年末まで保留となっており、現段階ではなんとも。」

という非常に残念なコメント。

このような素晴らしい作品を、読者の皆さんに観て頂けないのは非常に残念である。是非、1人でも多くの方に観て欲しいと願う、今日この頃である。

参照サイト: www.irongiant.com


↓ハリウッドの映像業界で流れた電子メールより↓

I don't mean to sound preachy but I'm trying to encourage folks to go and see"The Iron Giant". The rumor over at WB is that if this movie doesn't do well (its doing horrible in the box office) it will be pulled from theatres this weekend!

I'm urging you to see this film. It is a WONDERFUL and STRONG story that is BEAUTIFULLY executed.

No, its not Disney. But the results of this film, and all animated films, as you all know effect this entire industry. If this film does not get the recognition it very much deserves, animation costs could be cut resulting in clean-up animation to be sent overseas further resulting in a lesser quality of work and loss of jobs across the board.

Please support your industry. If you have seen the film, I believe you know what I am talking about as I have not heard anything negative about it. Take your kids, take your partners, take your grandparents, there is something in it for everyone!

Okay, I'm climbing down from the soapbox now. thank you
   

 


 

 
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