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VES主催 「ジュラシック・ワールド」Q&Aセッション

text by 鍋 潤太郎



画像:公開直前時期は、LA市内では大きなビルボードが至るところに出現していた。
   

著者より:下記は2015年6月に映像新聞に寄稿させて頂いた記事です。

6月12日、全米で「ジュラシック・パーク」のシリーズ第4作目となる、映画「ジュラシック・ワールド」が公開された。公開最初の週末に$208.8million(約258億円相当)を稼ぎ出す等、文句なしのメガヒットを記録した。

これに合わせて、ハリウッドに拠点を置くVES(米視覚効果協会)は6月14日、ハリウッドのアカデミー財団試写室においてVES会員向けの試写会と、ILMのスーバーバイザーによるQ&Aセッションを開催した。この日は、まず本編の3D試写が行われ、上映後にVFXスーパーバイザーのティム・アレキサンダー氏、アニメーション・スーパーバイザーのグレン・マッキントッシュ氏が登壇、参加者からの質疑応答に答えた。

ここでは、その模様を要約し、そのテクニカル・スペックに関する部分だけを抜粋してご紹介しよう。当然の事ながら、映画の内容やネタバレに関する情報は一切含まれていないので、どうかご安心の上、お読み頂ければと思う。

Q&Aセッションでは、参加者が質問を投げ、それにパネラーが一問一答する形で行われた。

 

 

Q:レンダラーは何を使用したのでしょうか?

A:恐竜のレンダリングは全てRenderManです。エンバイロンメント(背景)にはV-Rayを使用しました。

「パシフィック・リム」の時はArnoldを使用しましたが、今回はレイトレースを多用した事もあり、RenderManに戻す事にしました。

 

Q:この映画の中で、撮影時にプラティカル・モデル(実物大モデル)は使用されましたか?

A:はい、「撮影の際の、リファレンス用」としては使用しています。例えば、恐竜の足など。実物大のモデルを置いて、俳優が演技する際の立ち位置の参考にしたり、塗装した実物大モデルを置いてライティングの参考用に利用しました。また、ラプターと俳優が絡むシーンでは、ダンサーがラプター頭部の造形物を被って、一緒に演技したりもしています。ダンサーは、後でCGのラプターと差し替えられています。

 

Q:フィル・ティペットが参加していますが、今回のVFXにはどの程度関わったのでしょうか。

A:フィル・ティペットは93年の「ジュラシック・パーク」から参加しているご縁があり、この作品でも「恐竜スーパーバイザー」としてプロダクション初期から参加してもらっています。フィルは、自分のスタジオ(TIPPET STUDIO)を持ち、プロジェクトも抱え、大変忙しい人ですが、撮影の際はセットに立ち会い、現場で非常に沢山のアイデアを出してくれました。

 

Q:ハリウッドでは「いずれ4Kが流行する」というような噂もありますが、この作品では?

A:いえいえ、映画は全編2Kです(笑)。強いて言えば、4Kのショットは1つだけありました。これはサムスンのテレビの宣伝用に作ったもので、ベストバイ(アメリカの家電量販店)の店頭へ行くと、おそらくデモを観る事が出来るでしょう。

 

Q:恐竜の「寄り」ショットが多いですが、かなりハイレゾのテクスチャーが必要だったのでは?

A: その通りです。いくつかのショットは、恐竜の部分的なクローズアップで解像度が足りない事が分かり、その都度テクスチャー・アーティストに頼んで、よりハイレゾなテクスチャーを用意してもらったりしました。また、ショットによっては、異なる解像度のテクスチャーを用意しておき、近景・遠景で解像度を切り替えられるようにしたショットもあります。

 

Q:本物の動物は登場していますか?

A:えーー、ヤギと豚だけですね。他は全てCGです。

 

 

Q:VFXショット数は、どれ位でしたか?

A:それが、思いの他、少ないのです。900ショット代で、1000ショットには届きませんでした。作業は、ILMのサンプランシスコ、シンガポール、ロンドンで分担して行いました。難易度の高いシーンはサンフランシスコで担当する事が多かったですね。

 

Q:ILMだけで全VFXを担当したのですか?

A:いくつかのVFXベンダーにも協力をお願いしています。特定のシークエンスをImage Engineに依頼したり、劇中のコンピューター画面に登場するコンピューター・グラフィックスはHybrideにお願いしています。

 

Q:過去の「ジュラシックパーク」シリーズから、モデル・データの使い回しは?

A:ありませんでした。実は、前作のパート3から、優に14年が経過しているのです。(場内から驚きの声)そうなのです。時間が経つのは早いものです。今回のプロダクション初期に、過去の作品のデータを使って簡単なテスト等は行いましたが、その多くはバージョンが古かったり、読めなかったりで、本編で使用した全てのモデルは、基本的に新しくモデリングしています。ただ、Tレックスに限っては、過去のシリーズと形状の整合性を保つ為、過去のデータや資料を参考にしています。

 

Q:恐竜の前後に植物が絡むショットが多いですが、ロトはさぞかし大変だったのでは?

A:可能な限りロトを少なくするよう、撮影時にいろいろ工夫をしました。例えば、恐竜が動いて枝が動くシーン等がありますが、セット上ではグリーン服のお兄さんが枝を揺らしたりしています。

 

Q:撮影フォーマットは?

撮影監督の意向もあり、フィルムです。撮影はスーパー35です。ファイナルのアスペクトは2.0ですが、スーパー35で撮る事によって、撮影の際に構図の面で様々な柔軟性が生まれて重宝しました。部分的に65mmでも撮影しています。フィルムで撮影する事により、より高いディテールを得る事が出来ました。

 

Q:この映画は3Dですが、撮影の時からカメラ2台で撮影したのでしょうか?

A:最初は「カメラ2台で撮ろうか」という案もありましたが、これについてはスタジオ側(ユニバーサル)からOKが出ませんでした。そこで、今流行りの後処理による2D->3Dコンバージョンによる立体化が行われました。2D->3DコンバージョンはStereoDが担当しました。

 

司会:それでは、そろそろお時間ですので、さようなら。

 

...と、このような内容であった。参加者がVFX現場のクルーという事もあり、現場レベルの視点からの質問が沢山飛び出し、大変興味深い試写会とQ&Aセッションであった。

今年の夏に開催されるSIGGRAPH2015でも、プロダクション・セッションやペーパーが予定されているという事なので、参加を予定されている方は是非SIGGRAPH2015の関連サイトをチェックしてみる事をおススメしたい。







このサイトに含まれる記事は、鍋 潤太郎が日本のメディア向けに
随筆したものを再編し、ご紹介しています。


著者に無断での転載、引用は固くご遠慮下さいますよう、
お願い申し上げます。


転載や引用をご希望の方は、お問い合わせページ< よりご連絡下さいませ。

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