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著者注:この記事は、映像新聞2016年9月12日号に寄稿させて頂いたものです。

SIGGRAPH2016 Production Sessions

「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」メイキング  7月28日(木)3:45 pm - 5:15 pm  ホールB

SIGGRAPH2016最終日、一番最後のプロダクション・セッションとして行われた、ILMによる「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」メイキングの模様をご紹介する。ここでは、ILMの歴史も含めた様々な映像を見せながら、この作品の中でILMが最先端のVFXとデジタル・アニメーションを駆使し、どのように2100のVFXショットを完成させたかが披露された。

その内容を要約してご紹介する。

Text by 鍋 潤太郎


 

○パネラーの顔ぶれ

Daniel Pearson, CG Supervisor
Industrial Light & Magic

Patrick Tubach, VFX Supervisor
Industrial Light & Magic

Paul Kavanagh, Animation Supervisor
Industrial Light & Magic

Polly Ing, CG Supervisor
Industrial Light & Magic


○挨拶

今日は、この作品のVFX及びテクノロジーについてお話しする。
全2100ショット、制作期間2年、8箇所でのロケーション、膨大な数のVFXアーティストが参加した。

今日は、いくつかのテーマに絞って解説する事にしよう。




○ファルコン号のチェイス・シーン

  スター・デストロイヤー内部のチェイス・シーンは、見せ場のひとつ。

    「墜落して廃墟と化したスター・デストロイヤーは、巨大感を出したい」という意向が‎J・J・エイブラムス監督(以降JJ)からあった。ファルコン号もそれなりのサイズがあるが、スター・デストロイヤーは遥かに大きい。巨大感を出すのがチャレンジだった。
 
  スター・デストロイヤーは、膨大な数のパーツで構成されている。巨大感を出しつつ、観客が映像を見た時、「あ、スター・デストロイヤーだ」と認識出来るようにしなければならない。各ショットでは3Dマットペイントも多用している。

ファルコン号は熱烈なファンも多く、たとえハン・ソロは殺しても、ファルコン号は絶対に壊しちゃいけない(笑)

 ファルコン号のデザインは、基本的に旧作と同じ。違いといえば、屋根のパラボラ・アンテナを外した位である。
 デジタルによる「復元」は大仕事だった。責任も重い。細部のディテールを追求すべく、新しいシェーダーも開発された。

 ファルコン号のコックピットのシーンは、巨大な油圧のモーション・ベース+実物大コックピットのセットを作って、IMAXカメラをマウントし、臨場感を出して撮影された。


○スターキラー基地

スターキラー基地のシークエンス用に、アイスランドで沢山のプレート撮影を行った。

スターキラー基地では兵士の群衆シーンが登場するが、ここで注意した事は「人数を増やし過ぎない事」にあった。
むやみに増やすと不自然に見えてしまう。また、隊列が並ぶパターンもブレイクアップして、自然に見えるよう注意した。

ハン・ソロとカイロ・レンの対決シーンのセットは、空間が大きく広く見えるよう心掛けた。

ライトセーバーのバトルについて。カイロ・レンの十字型ライトセーバーは、ライトセーバー自体が”怒り狂ったような”威圧感を持たせたかった。そこで、炎や火花を足して「より危険な武器に見える」雰囲気を強調した。もしバーベキュー・トーチに見えてしまったら大失敗だ(場内爆笑)

雪の中でレイとカイロ・レンが戦う、地面の崩落シークエンスはRBDシュミレーション及び雪のシュミレーションを駆使して仕上げている。

スターキラー基地の崩壊シークエンスは、さまざまな崩壊パターンを作ってテストを重ね、迫力を出した。


○BB-8

BBは、みんな大好きな人気キャラクターだ。このデザインに行き着くまでは、様々な段階を踏んだ。最初にJJから手書きのイラストが手渡され、それがベースになっている。イラストと言っても、大変ラフな落書きみたいな感じで、そこからデザインを起こしていった。形状はなるべくシンプルに。BBのアンテナは、テストで入れてみたらJJが気に入り、採用となった。

BBの撮影は、パペッターがリグで操作しているショットも多く、その場合は後でデジタルでリグを消している。撮影現場でJJがBBに"演技指導"をした際、後ろにパペッターが立っているのに、彼を見もしないでBBに直接話し掛けてしまうという珍エピソードもあった。(場内爆笑)

BBは、ショットによっては頭部だけ、デジタルで差し替えている箇所もある。フル・デジタルのショットも多数あり、用途によって使い分けている。


○スター・デストロイヤーの格納庫

  スター・デストロイヤー内部にある戦闘機(TIEファイター)格納庫のデザインは、実はペッツのディスペンサーからヒントを得ている。(場内爆笑)

  スター・デストロイヤー内部は床の反射も多く、ディテールが複雑だ。撮影はグリーン・スクリーンのセット撮影で、部分的にプロップのセットが置いてあり、後からデジタルで埋めていく。


○猛獣ラスター

大型貨物船エラヴァナの中で登場する、タコのような猛獣ラスター。このキャラクターで課題だったのは、「どうやって動かそう?」という事だった。

アニメーターが様々な動きをテストしたが、どうもしっくり来ない。タコのように這う動きもテストされたが、間抜けになってしまう。そこで、回転しながら移動するテストが、スピード感や迫力の面から採用された。

丁度その頃、ピクサーにいる友人が映画「ファインディング・ドリー」でタコのキャラクターを担当していて、スプライン・ベースのリグでコントロールするというアプローチを参考に、猛獣ラスターの触手のデフォーマーを開発した。


○惑星タコダナ  マズ・カナタの城のバトル

このシークエンスの実写部分はイギリスで撮影された。レイとソロが城に入っていくショットで、右側から歩いて出てくる二足歩行のロボットは、CGではなく撮影時から入っている。

レジスタンスのXウイング部隊が水柱を上げながら登場するアイデアは、比較的初期からあった。

城のデザインは、イギリスに実在する古い城を参考にしている。

ファースト・オーダーによる城の攻撃シークエンスは、ここでもRBDシュミレーションが多用され、スーパーバイザー達のお気に入りショットの1つとなった。




○Q&A

Q:宇宙船のデザインは、どのようなプロセスで決めたのか。
A:  船のデザインは、プロダクション初期からスタート。JJも参加してアイデアを出し合う。「30年が経過したら、どうデザインが変化するだろうか」とという事を考えながらデザインされた。


Q: この作品で、ILMXLABとのコラボレーションはあったか。
A: あった。特にプロジェクト初期は、デザインなど頻繁にやりとりを行った。


Q: 今日は貴重なお話をありがとう。質問ではないが、私に一言いわせて頂きたい。もし映画「スターウォーズ」(1977)が無かったら、VFX業界はここまで成長しなかった事だろう。私も、今日ここに居なかったかもしれない。その意味で、「スターウォーズ」を作ったジョージ・ルーカス、ILM、そして今日のパネラーの皆さんに、お礼を申し上げたい。どうもありがとう!

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この、「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」メイキングでSIGGRAPH2016は締めくくられた。まさに、会期の最後を飾るに相応しいセッションであった。





このサイトに含まれる記事は、鍋 潤太郎が日本のメディア向けに
随筆したものを再編し、ご紹介しています。


著者に無断での転載、引用は固くご遠慮下さいますよう、
お願い申し上げます。


転載や引用をご希望の方は、お問い合わせページ< よりご連絡下さいませ。

(C)1997-2018 All rights reserved  鍋 潤太郎

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