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映像ジャーナリスト 鍋 潤太郎の随筆による、ハリウッドVFX情報をいち早くお届けします。


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ここロサンゼルスでは、ACM SIGGRAPHの地方分科会である"LA SIGGRAPH"の月例会が毎月開催されている。

内容は毎月異なり、新作映画のお披露目やメーキング講演だったり、目新しいテクノロジーの紹介だったりする。

この月例会には誰でも参加出来、会員になって年会費$35.00を納めれば、毎月の月例会の参加費は無料となる。

会員でなくても、会場入り口で参加費15ドルを支払えば入場出来る。しかも学生の非会員は、学生証を提示すればたったの5ドルで月例会に入場出来るという特典もある。

2月の月例会は、「VFX(ビジュアル・エフェクツ)プロデューサーの視点から、VFX業界を語る」というパネルディスカッションであった。

L.A. ACM SIGGRAPH Presents:

Producing the Future: A Producer’s Perspective on
“What’s Coming Next in Visual Effects?”

Wednesday February 11, 2004

Fees/Registration
The event is free to L.A. ACM SIGGRAPH members and
$15 for non-members. New members who sign up on site
and pay the $35 annual membership fee (Checks or cash
only) do not have to pay the admission fee.

Location
The Barnsdall Gallery Theatre in
The Barnsdall Art Park
4800 Hollywood Blvd.
Los Angeles, CA 90027


今月の会場は、ハリウッドとダウンタウンのほぼ中間にある、球場ドジャーズ・スタジアムに程近いシアターであった。

ここの会場はヘンピでわかりずらい場所にある上、駐車場も小さく、おまけに時間帯的にも交通渋滞に巻き込まれ、到着するまでが大変であった。

…さて、この日の月例会だが、「もし、あなたが"VFXプロデューサーって何?どんな事するの?”という疑問を抱いているのであれば、彼らに直接質問しよう!」という趣旨のお題目が組まれ、開催された。

ステージ上には、第1線の現場で活躍するVFXプロデューサー6人が登場、パネルディスカッションが行われた。

パネラーの顔ぶれは下記のとおり。

RICK BAUMGARTNER (司会)
Stargate Digital / visual Effects producer

KOREY CAUCHON
Freelance Producer and VFX Supervisor

DOUG LUDWIG
Vice President of Production / Stargate Digital

ROBERT O'HAVER
Visual/Digital Effects Producer and Supervisor

SUSAN THURMOND
Freelance VFX Producer

KIERAN WOO
VFX Producer / Barbed Wire

それでは、そのディスカッションの模様をさっくりと要約し、簡単にご紹介する事にしよう。


~「プロデューサー」というポジションについて

○人と顔をつきあわせ、目と目をつきあわせ、仕事をする。とてもタフで、責任が重い仕事だ。

○作品の脚本を読み、内容を理解し、製作期間、オーバーヘッド(余剰人員)が発生しないよう、必要な人数など試算し、うまく予算内で収めるのが仕事。

○プロデューサーの場合、社員ではなくフリーランスの方が「お金を稼げる」という観点に限って言えば、良いかもしれない。

○しかし、フリーランスの場合、[雇われて]→[チームが解散]→[また雇われて]、という大きな輪廻の中で仕事をする事になる。継続して仕事をしていける為には、毎回ベストを尽くし良い結果を残す事が大切。

○現場に対して望む事は、ストーリー・テリングの大切さを理解してもらう事だろうか。今、ここで何を表現すべきか?何が必要とされているか?これらをきちんと理解する事は重要だと思う。

○各ショットをどうデザインし、どうクライアントの要求に応えるか?それが毎回、我々のチャレンジだと考えている。


~仕事のカテゴリーについて

○VFXの仕事のカテゴリーはいろいろだ。テレビ番組、コマーシャル、そしてミュージック・ビデオ、そして映画など。

○一般にCMやミュージック・ビデオの仕事は予算も巨額ではなく、製作期間も短い場合が多い。

○ミュージック・ビデオの仕事の場合、作業には一定のパターンがあって、慣れてくるとハンバーガーを作るようなノリでこなせる場合もある。

○一方、映画の場合は、予算も高く、製作期間も充分に与えられる場合が多い反面、大人数のスタッフを必要とする。


~テクノロジーについて

○ハイビジョンは、これからCMや映画等の分野に、更に使用される機会が増えてくるだろう。実際、ハイビジョン撮影による作品も増えている。

○作品やVFXの種類によって、使用するCGソフトも異なるケースが多い。的確な人材の確保、教育などが今後の課題。

○世の中は便利になり、インターネットで必要なアプリケーションは買えるし、必要なプラグインもダウンロード出来る。遠隔地のクライアントにはFTPでチェックをしてもらえる。どんどん作業効率が良くなっているのは確かだ。

○社内のコミュニケーションやプロジェクトを円滑に進める手段として、ソフトウェアの有効活用は必須だ。一例として、プロダクション管理のデータベースにはFile Maker Proを使う事が多い。これらのソフトウエアを、「マネージメントの道具」としてうまく使いこなす事が大切。


~国際ビジネスについて

○クライアントによっては、ヨーロッパ圏などの、フランスやイギリス等国境を跨いで仕事をする事もある。

○日本のプロダクションがクライアントになる事は多い。特にLAには日本の製作プロダクションの支社が多く、そこを通じて日本のCM等を受注するケースも多い。

○色々な国の人と仕事をする機会も多く、その意味で気分的には、ビジネスの上での「国境」は無くなりつつある。


~学校教育に対して望む事

○学校には、世界各国から生徒が集まって来る。しかし、学ぶ姿勢として大切なのは、古くからある伝統的な技法や手法を、正しくきちんと理解するという事。例えば、オプチカルの合成技術などを理解すると、それをデジタルにも応用する事が出来る。

○もし、あなたがモデラーになりたいとする。そうしたら、CGソフトの使い方ばかりを勉強するのではなく、彫刻や粘度造形の勉強をした方が良い。ベーシックなスキルの鍛錬は大切だ。


~VFX業界に入る為にはどうしたら良いのか?

○この世界に入りたい、という人は多く、以前よりも増えていると思う。

○クリエィティブなポジションの場合は、まずデモリール。自分のベストワークを編集し、うまくプレゼンテーションする事だ。自分が「何が出来るか」を明確にして売り込む事。そうすれば、人事部からあなたに電話が掛かってくるだろう。

○プロデューサーの場合。私が入社した時に言われたのは、

 ・良き「ベビー・シッター役」である事。

 ・クライアントとのやりとりは、忍耐を持って行うべし。

 ・全てをきちんとオーガナイズする事。身近な所では、机の上の整理、メモの整理、コンピューターのデスクトップの整理等。それが出来ないようでは、大プロジェクトの管理など到底出来ない。

 という事だった。確かにその通りだった。

○この世界に入るには、タイミングが重要。人を募集していない時にいくら応募してもダメ。また、諦めずに辛抱強く挑戦し続ける事も大切。


~これから5年の展望は

○いろんなメディア、いろんな作品があり、今後も大きく期待が出来ると思うが、大切なのは世の中の変化に、うまく順応していく事。

○テクノロジーの進化は早い。柔軟に対応し、常に「追いついて」いく必要がある。

○願わくば、継続してプロジェクトがあり、それらをうまく回していければ、我々はすべてハッピ~だ(笑)


…という内容であった。

この日の参加者は、日頃プロダクションでマネージメントを行っている人も多かったようで、40~50代の管理職風の人の姿も見受けられた。

アメリカの映像プロダクションは、ごく普通の企業と同様に、マネージメントや企業管理がしっかりとしている会社が多い。

しかしその為には、マネージメントを行うポジションの人を対象とした情報交換の場や、研修や勉強をする場が必要だ。

LA SIGGRAPHの月例会は、映像のメーキングなど現場寄りの内容だけではなく、各分野を見据えた、幅広い視野で開催されている事も特色の1つと言える。

その意味で今月の月例会は、非常に意義のあるミーティングだったのではないだろうか。

 


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