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映像ジャーナリスト 鍋 潤太郎の随筆による、ハリウッドVFX情報をいち早くお届けします。

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来年のSIGGRAPH2008でチェアを勤めるジャクリーン・マトリーノ女史に、「来年から大きく変わる」と噂されるSIGGRAPHの今後について、その動向や方向性を語って頂いた。  

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1.来年開催されるSIGGRAPH2008では、プログラムが大きく変更になると言われているが、どのような点が変わるのか。また、変わるとしたら、その理由・ねらいは何か。

ご存知のように、教育を取り巻く環境は変化しつつあります。シーグラフの運営陣は、日進月歩で進化する研究開発の成果を、コンピュータグラフィックスのプロフェッショナルに如何に供給していくかを考えています。

テクノロジーの進化の中で、各分野の専門家が多忙なスケジュールの合間を縫って「年に1度だけ」コンベンションに参加する事が可能だとしたら、SIGGRAPHは「ワン・ストップ・イベント」としての存在に留まってしまう恐れがあります。

来年のSIGGRAPH2008からは、今後数年に渡る新たな計画と継続性、そしてより多種多用で柔軟性のあるアプローチを参加者に提供していく構えです。

コンファレンスのプログラムは、アート、エンターテインメント、業界内のコネクション、遭遇、インタラクティブ・テクノロジー、オペレーション、プロダクション、そしてコンピュータグラフィックスのプロフェッショナルと教育分野での技術研究開発などがその主軸となります。

PapaersやComputer Animation Festivalは基本的にこのままのスタイルを継続していく構えですが、それ以外のコンファレンス・プログラムについては、これまでの「古い」枠にとらわれず、よりフレキシブルに発展させていく事を検討しています。

実際、専門分野教育や業界での最新ニーズを鑑みると、それらは現状のシーグラフの「枠」を遥かに超える領域まで迫って来ていると、私達は考えています。

 
 2.イベントとして、また、団体として、SIGGRAPHは長期的に見てどのような方向を目指しているのか。


SIGGRAPHは、常に最新のコンピュータグラフィックスの研究成果を提供出来る場として努めてきました。

日進月歩で技術が変わり続けるこの分野では、この先の5~10年を予測する事がほとんど不可能に近いと言えるでしょう。

その中で、次なる2008年のシーグラフで出来る事は、まず未来の正しい方向性を見極めていく事だと思います。
 
また、実在するテクノロジーが、成長し続ける私達の興味や関心、考え方にどう影響していくのかが大切です。教育とは常に、如何に人材を育成していくかに焦点が置かれるべきなのです。

そこで、SIGGRAPHは、ワールドワイドで情報を広める新しい方向をめざしています。
 
その一環として、新しい「SIGGRAPHアジア」が2008年12月にシンガポールで初めて開催される予定です。これは、毎年継続していく構えで、その翌年の2009年には、日本の横浜で開催予定です。

SIGGRAPHは、この新しい試みを大変喜ばしい出来事と捉え、今後の成功に向けて全力で取り組んで行ける事を楽しみにしています。


 3.2008では、アジアでもSIGGRAPHアジアが開催になるが、この大会とはどのような関係になるのか。たとえば、アジアからの論文やコンピューターアニメーションフェスティバルへの応募は、ロサンゼルス大会では受け付けてくれないのか。連動したイベントのようなものはあるのか。

この2つのコンファレンスは、どちらも世界中からの応募が歓迎され、特に米国やヨーロッパ・アジア圏とを区分けするものではありません。

アジア圏からの論文やアニメーション作品の応募は、2008年のロサンゼルスにおいても、2009年のニューオリンズにおいてても、引き続き歓迎されます。

これは、逆の言い方をすれば、北米やヨーロッパ圏からSIGGRAPHアジアへの応募も同様に推奨される、という事になります。


このように、来年から変革が予定されているSIGGRAPHだが、2年ぶりにロサンゼルスでの開催が予定されているだけにその内容も注目されている。

2008年夏の開催が今から楽しみである。

 


 


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(C)1998-2009 All rights reserved  鍋 潤太郎

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 この7月、米ウォルト・ディズニー・カンパニー(以下ディズニー)が米シネフェックス誌(CineFex)や、映像フェスティバルのプログラム等の広告で発表したところによれば、同社の長編アニメーション製作部門であるWalt Disney Feature Animation (WDFA) は、この程、社名が変更され、新しい社名がアナウンスされた。
 
新しい社名はWalt Disney Animation Studios。
 
"Feature"とは劇場用映画の意だが、それが削除され、Animation Studiosというよりシンプルな社名に変更された形だ。
 
この社名変更の背景には、2006年1月にさかのぼる、ディズニーによるピクサー・アニメーション・スタジオの買収後の大規模なスタジオ内部改革があると見られている。
 
買収直後、WDFA内で2008年の公開をめざし製作準備が進められていたフルCG長編映画「Toy Story3」の製作が中止になった他、このプロジェクトで採用されたスタッフ達が大量にレイオフされた出来事が記憶に新しい。
 
ハリウッドの業界の中では、今回の社名変更について「ディズニーは2D作品も含めた、より原点に帰ったスタジオ運営を模索しているのだろう」と見る向きもある。
 
もともと、故ウォルト・ディズニーが長編アニメーションの製作をスタートしたのは1934年。
 
当時の社名はWalt Disney Productionsだった。
 
そして1938年2月には世界初のアニメーション劇場長編「白雪姫」が公開され大ヒット。
 
1966年のディズニー氏の死去後、低迷期を乗り越えスタジオは新たな方向性を確立、それから数々の名作が誕生し、WDFAとなる。
 
WDFAは1999年の段階で、フロリダのオーランド、フランスのパリ、そして本拠地ロサンゼルスのバーバンクの3箇所に長編アニメーション・スタジオを有し、従業員数2400名以上というマンモス級アニメーション・スタジオへと成長した。
 
しかし、これと前後して3DCGのテクノロジーの進化により製作手法が変化。86年にピクサー・アニメーション・スタジオが「トイ・ストーリー」で大成功を収め、この頃から序所に劇場用長編アニメーションにも3DCG化の波が押し寄せる。
 
WDFAは2000年を皮ぎりに大規模なスタジオ縮小とレイオフを開始。オーランドのスタジオは2003年に、パリのスタジオも2004年に閉鎖された。
 
そして、2004年の「ホーム・オン・ザ・レンジ(Home on the Range)」 (2004年)を最後に2Dの手法による劇場用長編アニメーション製作に終止符を打ち、とうとう2005年には同社初のフルCGの長編「チキン・リトル」を公開。
 
2006年1月にはピクサーを買収したが、この後から「3DCGの長編はピクサーへ」という動きがスタジオ内で始める。
 
今年5月に全米公開された「ルイスと未来泥棒(Meet the Robinsons)」(日本では年末公開予定)はフルCGの立体映画だが、この作品が完成した段階で、担当スタッフは、次作「American Dog」に配属されるアーティスト以外、ほぼ全員がレイオフされてしまった。
 
また、この作品から、映画の冒頭に登場する会社のロゴ・アニメーションからWDFAの社名が使われなくなったのも印象的だ。
 
業界関係者の話では、実際のところ、この頃から徐々にWalt Disney Animation Studiosの社名が使われ始めていたそうだ。それが、この7月、新社名が「正式」にアナウンスされたという形になる。
 
今回の社名変更は、今後は長編だけではなく、短編の製作も視野に入れ、そして伝統的な2Dのトラディショナル・アニメーションも視野にいれ、原点回帰しようとするねらいがあるようだ。
 

 
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